産休・育休中でも「免除されない税金」とは?

産休・育休中でも「免除されない税金」とは?

産休・育休中の出費を知ろう

― 知らないと慌てる社会保障の基本 ―

妊娠や出産をきっかけに、仕事を一時的に休む「産休・育休」。この期間については、「どんな給付金がもらえるのか」という“入ってくるお金”の話はよく耳にする一方で、「何に、どれくらい支払いが発生するのか」といった“出ていくお金”については、具体的にイメージできていない人も多いのではないでしょうか。

実際、休業に入ってから「思っていたよりお金が出ていく」「こんな支払いがあるなんて知らなかった」と慌ててしまうケースは少なくありません。そこで今回は、産休・育休中に発生する出費について、基本から丁寧に整理していきます。事前に知っておくことで、安心して休業期間を迎えることができます。

まずは基本のおさらい

まずは基本のおさらい

一定の条件を満たして社会保険に加入している場合、産休・育休中には主に次のような給付金を受け取ることができます。

  • 出産前後の休業期間に支給される給付
  • 育児のための休業期間に支給される給付

これらは、産休・育休中の生活を支える大切な制度ですが、注意点があります。それは、休業に入ってすぐに振り込まれるわけではないという点です。一般的には、休業開始から3〜4か月ほど経ってから支給されるケースが多く、その間は収入がない、もしくは大きく減った状態が続きます。

つまり、給付金が入るまでの「無給期間」をどう乗り切るかが、産休・育休前の大きな課題になります。そのためには、休業中にどんな支払いが発生するのかを、あらかじめ把握しておくことが欠かせません。

産休・育休中に支払いが発生するものは?

ここで、多くの人が誤解しやすいポイントがあります。それは、「休業中はお金をもらえない代わりに、支払いもほとんどなくなるのでは?」という思い込みです。

実際には、産休・育休中に支払いが免除されるものと、引き続き支払いが必要なものがあります。

社会保険料はどうなる?

産休・育休中は、健康保険料や年金保険料といった社会保険料の支払いが免除されます。休業中に収入がない場合でも、保険の資格は継続され、将来の年金にもきちんと反映される仕組みになっています。

この点だけを見ると、「休業中はかなり負担が軽くなる」と感じるかもしれません。

所得税はかかる?

産休・育休中に受け取る給付金は、原則として非課税です。そのため、給付金以外に収入がなければ、所得税は発生しません。給料が支払われていない期間について、追加で所得税を納める必要はないという点は、安心できるポイントでしょう。

それでも注意が必要な「住民税」

それでも注意が必要な「住民税」

ここまでを見ると、「社会保険料も税金もほとんど免除されるなら、出費は少なそう」と感じるかもしれません。しかし、ここで見落としがちなのが住民税です。

産休・育休中であっても、住民税の支払いは原則として続きます。給料がゼロになっても、給付金が非課税であっても、住民税だけは別なのです。

その理由は、住民税の仕組みにあります。

住民税は「後払い」の税金

住民税は、前年1年間の所得をもとに計算され、その翌年に支払う税金です。つまり、「今の収入」ではなく、「過去の収入」に対して課税される仕組みになっています。

そのため、産休・育休に入って現在の収入がなくなっていたとしても、「前年に働いて収入があった分の税金」として、支払いを求められるのです。収入がないタイミングで請求が来るため、精神的な負担を感じやすいのも特徴です。

住民税の支払い方法を知っておこう

住民税の納付方法には、大きく分けて次の2つがあります。

  • 給与から天引きされる方法
  • 自分で納付する方法

給与から天引きされる方法では、1年分の税額が12回に分けて引き落とされるため、1回あたりの負担は比較的軽くなります。一方、自分で納付する方法では、一括または年4回の分割で支払うことになり、1回あたりの金額が大きくなりがちです。

これまで給与天引きで納付していた人が産休・育休に入ると、支払い方法の見直しが必要になるケースもあります。会社の対応によっては、復帰後にまとめて精算する方法が取れることもありますが、必ずしも全ての職場で可能とは限りません。

事前の準備が安心につながる

事前の準備が安心につながる

休業中の資金繰りに余裕がない場合、住民税の支払いが大きな負担になることがあります。そのため、産休・育休に入る前に、

  • 住民税の支払い方法をどうするか
  • 休業期間中にいくら必要になるのか

を確認しておくことが大切です。

また、状況によっては、支払いの猶予制度を利用できる場合もあります。どうしても納付が難しいと感じたら、放置せず、早めに相談することが重要です。

まとめ

産休・育休中は、社会保険料の支払いが免除され、給付金も非課税となるため、税や保険の負担は大きく軽減されます。しかし、住民税だけは休業中も支払いが発生するという点には注意が必要です。

住民税は「遅れてやってくる支出」です。事前に知っておくだけで、納付書が届いたときに慌てずに済みます。

これから産休・育休を予定している人は、

  • 休業中の支出を整理する
  • 必要な金額をあらかじめ確保しておく

といった準備を進めておくことで、安心して大切な時間を過ごすことができるでしょう。制度を正しく理解し、心に余裕を持って産休・育休期間を迎えてください。