営業マンは教えてくれない
がん保険に加入する前に知っておきたい5つのこと

「そろそろ、がん保険に入ったほうがいいのだろうか?」
30代になると、こんな悩みを持つ人は一気に増えます。
友人や同僚が「がん保険に入った」という話を聞くと、自分だけ何も備えていないことが不安になるものです。
一方で、世の中には「がん保険は不要」という意見もあります。
いったい、どちらを信じればいいのでしょうか。
今回は
「がん保険に加入する前に、最低限知っておいてほしい5つのポイント」
を整理して解説します。
最初に結論からお伝えすると、
最終的な判断は人それぞれ。ただし、判断は“バランスの良い情報”を前提に行うべきです。
保険会社のセールストークだけを鵜呑みにするのは、非常に情報の偏った状態です。
その前に、ぜひ知っておいてほしい事実があります。
①「2人に1人はがんになる」は本当。でも若いうちはなりにくい
保険の営業現場で、ほぼ必ず使われるフレーズがあります。
「日本人は2人に1人が、がんになります」
この言葉を聞くと、「50%の確率なら、保険に入らないのは危険では?」と感じますよね。
しかし、ここには大きな“カラクリ”があります。
この「2人に1人」という数字は、一生涯でがんになる確率です。
今後10年、20年での話ではありません。
実際に、年代別に「今後10年間でがんになる確率」を見ると次の通りです。
- 20歳〜30歳:0.3%
- 30歳〜40歳:0.6%
- 40歳〜50歳:1.6%
- 50歳〜60歳:5.2%
- 60歳〜70歳:15.7%
- 70歳〜80歳:31.3%
若いうちにがんになる確率が、いかに低いかが分かります。
例えば、20歳の男子校の同級生400人が10年後に再会したとします。
30歳時点でがんになっているのは、そのうち1人いるかどうかというレベルです。
しかもこれは「がんになった確率」であり、「がんで死亡する確率」ではありません。
死亡率は、さらに低くなります。
がんのリスクが本格的に高まるのは、50歳以降。
つまり、若いうちは時間を味方につけて貯金で備えることも十分可能なのです。
30年間保険料を払い続け、30年後に保険金を受け取る。
これは、手数料を払いながら貯金しているのと同じ構造とも言えます。
保険が本当に力を発揮するのは、
貯金がほとんどない若年期に、大きな病気になるケースです。
では、実際にがん治療にはいくらかかるのでしょうか。
② がんの治療費は意外とかからない
自己負担は平均100万円前後
営業マンから、こんな説明を受けたことはありませんか?
「がん治療は、普通の病気と違って何百万円もかかります」
これは完全な嘘ではありません。
ただし、かなり誇張されているのも事実です。
アフラックの「がんに関する意識調査」によると、
治療費のイメージには大きなギャップがあります。
- 「300万円以上かかりそう」と答えた人
→ がん未経験者:32.1%
→ がん経験者:5.2%
実際にがんを経験した人ほど、
「50〜100万円程度で収まった」と答えています。
私自身、家族ががんで1か月入院した経験がありますが、
自己負担額は約5万円程度でした。
もちろん、がんの種類や進行度によって差はあります。
「平均だけでは不安」という人がいるのも理解できます。
その場合、保険を選ぶ価値が出てくるでしょう。
ただし、
こうした現実的な数字を知らないまま加入している人が多い
という点は、ぜひ認識しておいてください。
③ 高額療養費制度の“分かりにくさ”が、保険人気を支えている
「なぜ、こんなに自己負担が少ないの?」
その理由が、高額療養費制度です。
これは、1か月の医療費が高額になった場合、
自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度です。
例えば、100万円の医療費がかかった場合。
- 本来の自己負担(3割):30万円
- 高額療養費適用後:平均所得世帯で約9万円
多くのがん治療が「自己負担50〜100万円」で済むのは、
この制度があるからです。
過去には、
この制度を説明せずに保険を販売していた事例が問題になったこともあります。
2018年の調査では、
制度の存在自体は約7割が知っているものの、
具体的な条件や手続きは「分かりにくい」と答えた人が半数以上でした。
この“分かりにくさ”こそが、
保険会社にとって有利に働いている側面もあります。
④ 「先進医療」=「最先端医療」ではない

「先進医療を受けると、保険がないと困りますよ」
これも、よくあるセールストークです。
しかし、まず言葉の定義を確認しましょう。
先進医療とは、
保険適用にすべきか検討中の医療行為のこと。
「最先端の医療」を幅広く指す言葉ではありません。
実際、がん治療で使われる先進医療(陽子線・重粒子線治療)は、
がん患者約310万人のうち、0.26%未満しか利用していません。
自己負担は約300万円と高額ですが、
利用する確率は極めて低いのが現実です。
意味や確率を知らないまま、
「何となく不安」で判断するのは合理的とは言えません。
⑤ がん保険は、実は北東アジアだけで流行っている
「がん保険は、3人に1人が加入しています」
これは事実です。
2022年時点で、加入率は約39%。
しかし、興味深いのは
がん保険が特に普及しているのは、日本・韓国・台湾だけという点です。
世界の多くの国では、
がんは心臓病や脳卒中とまとめて「重大疾病保険」でカバーされます。
日本でここまで浸透した背景には、
非常に巧みなマーケティング戦略があると言えるでしょう。
まとめ:不安ではなく「理解」で選ぼう

がん保険について、
「誰にとっても不要」と言うつもりはありません。
ただし、最低限、次の情報は知っておいてください。
- 若いうちは、がんになる確率は極めて低い
- がん治療の自己負担は、平均100万円前後
- 高額療養費制度が、治療費を大きく抑えている
- 先進医療は、誰もが使うものではない
- がん保険は、世界的には主流ではない
保険の売り手は、自分に有利な情報しか出しません。
だからこそ、買う側のリテラシーが重要です。
「何となく不安だから」
「営業マンが良い人だったから」
そんな理由で決めるものではありません。
本来、保険は人生を豊かにするための“道具”です。
無駄な保険料のために残業し、疲弊するのは本末転倒。
必要な情報を並べ、
自分に合ったリスク管理を、冷静に選んでいきましょう。