保有株が暴騰して売りたくなった時の判断ポイントを解説

株価が踊るとき、心は揺れる

株価が踊るとき、心は揺れる

高配当株式投資の世界に身を置いていると、ときに胸がざわつく瞬間が訪れます。画面に映し出された株価が、まるで意思を持った生き物のように急騰し、赤い数字が踊る。嬉しさと同時に、「今、どうすべきなのか」という焦りが心を支配する——そんな経験は、多くの投資家が一度は味わうものでしょう。

保有株が暴騰したとき、人は冷静さを失いがちです。売れば利益は確定する。しかし、いつ売るのか。今なのか、もう少し先なのか。その問いに明確な答えはなく、頭の中で思考が堂々巡りを始めます。まさに、投資家としての胆力が試される瞬間です。

ここで一度、深く息を吸ってみてください。相場は逃げません。株価の上昇は、あなたを試しているだけです。

芝浦電子の急騰が投資家に投げかけたもの

具体例として、芝浦電子という日本企業の動きを見てみましょう。2025年2月5日以降、同社の株価はまさに生き物のように急騰しました。きっかけは、台湾の電子部品大手YAGEOによる公開買い付け、いわゆる同意なき買収の発表です。TOBという言葉をご存じならば、どのような状況にあるのかはわかると思います。

グローバルに展開する台湾の部品メーカーが、日本のセンサメーカーである芝浦電子の株式を大量に取得すると宣言した。このニュースは市場を駆け巡り、わずか二日間で株価は約45%も上昇しました。まさに投資家心理が一気に沸点に達した瞬間です。

「売るべきか」を考えるための五つの視点

このような場面で、多くの投資家は「売るべきか、保有すべきか」という二択に迫られます。その判断軸として、私は次の五つの項目を大切にしています。
一つ、減配・無配となったか。
二つ、当初描いていた投資シナリオが崩れたか。
三つ、大きな不祥事を起こしたか。
四つ、より有望な乗り換え先が見つかったか。
五つ、大幅に値上がりしたか。

芝浦電子のケースでは、TOBが成立すれば経営陣の交代も想定され、当初のシナリオが変わる可能性があります。また、株価は大きく上昇しました。確かに、二つと五つに該当するようにも見えます。しかし、ここで即座に「売り」と結論づける必要はありません。

高配当株投資の大原則は「保有し続けること」

高配当株投資の大原則は「保有し続けること」

高配当株投資の大原則は、長期保有です。私は一度買った株は、一生持つつもりで向き合っています。売却は例外であり、日常ではありません。相場に嵐が吹こうと、雷鳴が轟こうと、その基本姿勢は変わらない。だからこそ、簡単な値上がりで軽々と手放すことはありません。

芝浦電子は、これまで配当を通じて株主に誠実に応えてきた企業です。買収はまだ完了しておらず、経営や配当方針が実際に変わったわけでもありません。良い会社であれば、どこかの大企業が目を付けるのは自然な流れです。これは想定外の出来事ではなく、むしろ想定内と言えるでしょう。静かに様子を見る時間と考えてよさそうです。

金の卵を産む鶏を、簡単に手放さない

高配当株を売りたくなったときこそ、「長期保有が原則、売却は例外」という言葉を思い出してください。金の卵を産む鶏を、目先の利益で手放してはいけません。もし売却を検討する結論が何度も続くなら、それは自分の投資軸が揺らいでいるサインかもしれません。

自分の判断で向き合う投資が、心を強くする

自分の判断で向き合う投資が、心を強くする

最後に、大切なことをお伝えします。自分の頭で考えて買った株式と、他人の勧めで何となく買った株式とでは、相場が荒れたときの心の安定がまるで違います。芝浦電子のニュースも、冷静に受け止めることができるかどうかは、日頃の学びと覚悟にかかっています。

興奮している今こそ、一歩引いてください。相場は長い旅路です。深呼吸をし、自分の投資シナリオを静かに見つめ直す——それこそが、成熟した投資家の姿なのです。