「フツウの人の人生設計」と「お金を増やす人の人生設計」
突然ですが、皆さんは自分の人生設計について、どれくらい真剣に考えたことがあるでしょうか。
人生設計と聞くと、「何歳までに結婚したい」「いつ頃マイホームを持ちたい」「何歳で仕事を引退したい」といった、年齢を基準にした目標を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、これらすべてに共通して欠かせない要素があります。それが「お金」です。
結婚、子育て、住まい、独立、そして老後の生活。どの場面を切り取っても、お金の問題から逃れることはできません。人生設計とは、言い換えれば「お金とどう付き合うかを考えること」でもあるのです。
本記事では、「一般的な人生設計」と、「お金を増やすことを重視する人の人生設計」を対比しながら解説します。これはまるで、二枚の海図を見比べるようなものです。どちらの海図を手に取るかによって、たどり着くゴールは大きく変わります。
一般的とされてきた人生設計

これまで多くの人が思い描いてきた人生設計は、ある意味で非常に完成度の高いものでした。
学校を卒業し、安定した職に就き、結婚や子育てを経て、住まいを持ち、定年を迎える。退職後は年金と退職金を取り崩しながら、穏やかな老後を過ごす。人生の終盤には、資産はほぼ使い切るか、住まいとわずかな預貯金が残る程度です。
この設計は、戦後から長く続いた社会環境の中では、十分に合理的で「合格点」と言えるものでした。物が不足していた時代を知る世代から見れば、現在の生活は驚くほど豊かで、感謝すべきものに溢れています。
しかし、時代は静かに、しかし確実に変わりました。
変化した前提条件
かつての人生設計が成り立っていた背景には、いくつかの前提がありました。
安定した雇用、年齢とともに上がる賃金、十分な退職金、そして比較的短い老後期間です。
ところが現在は、雇用の安定性が揺らぎ、早期退職や非正規雇用も珍しくありません。社会全体の高齢化が進み、働く世代一人あたりの負担は増えています。退職金の水準は下がり、平均寿命は延び続けています。
これらの条件を踏まえると、従来の人生設計をそのままなぞるだけでは、途中で資金が尽きてしまうリスクが現実的なものとなりました。かつて信頼できた海図が、今では目的地まで導いてくれない可能性があるのです。
新しい時代に合わせた人生設計
こうした変化を受け、現代に合った新しい人生設計が提案されています。その特徴は大きく三つあります。
一つ目は、「働いている間に資産を増やす仕組みを活用すること」です。
税負担を抑えながら長期的に資産を育てることで、現役時代のうちに備えを厚くする考え方です。
二つ目は、「働く期間を柔軟に考えること」です。
必ずしも一定の年齢で完全に仕事をやめるのではなく、健康状態や希望に応じて働き続けることで、資産を取り崩す時期を遅らせます。長く元気に働けることは、収入面だけでなく医療費の抑制という点でも大きな意味を持ちます。
三つ目は、「資産を運用しながら使うこと」です。
単に貯めたお金を切り崩すのではなく、運用と支出を並行させることで、資産が長持ちします。この差は、老後の生活期間が長くなるほど大きくなります。
この新しい人生設計のキーワードは、「健康寿命」と「資産寿命」です。この二つを意識するだけでも、人生後半の安心感は大きく変わります。
お金を増やすことを重視する人の人生設計

次に、お金を増やすことを重視する人の人生設計を見てみましょう。
この考え方の最大の特徴は、「資産が減らない、あるいは増え続ける状態」を目指す点にあります。
一定以上の資産を持ち、それを運用することで、生活費と運用収益が釣り合う状態になると、お金は理論上減らなくなります。資産が生み出す収益が、日々の支出を上回るためです。
この段階に達すると、働くかどうかは選択の問題になります。完全に仕事を辞めることもできますし、好きな形で働くこともできます。時間の自由度が大きく高まり、経済的な不安から解放されます。
さらに資産が増えれば、支出を差し引いても余剰が生まれ、それが再び資産を増やします。この循環が続くことで、資産は加速度的に成長していきます。
現実的な選択肢としての「中間的な航路」
とはいえ、若いうちに大きな資産を築くのは簡単ではありません。
多くの人にとって、現実的なのは「資産収入」と「適度な労働」を組み合わせた中間的な人生設計です。
一定額の資産を運用しつつ、不足分を自分のペースで働いて補う。この形であれば、資産が急激に減ることはなく、将来的には働く量を徐々に減らすことも可能です。
この設計の優れている点は、柔軟性と再現性の高さにあります。環境の変化に対応しやすく、資産形成が進めば、より自由度の高い生き方へ移行することもできます。
人生設計は「選択」である

重要なのは、どの人生設計が正しいかではなく、「自分がどの航路を選んでいるかを自覚しているか」です。
資産が減っていく設計を選ぶのも一つの価値観です。しかし、それを知らずに進むのと、理解したうえで選ぶのとでは、将来の納得感が大きく異なります。
人は、自分が描いた方向へ進みやすいものです。
資産を増やす航路を選べば増える可能性が高まり、減らす航路を選べば減っていきます。
まずは、自分の人生とお金の流れを一度、図に描いてみてください。可視化することで、現在地と進行方向がはっきりします。
まとめ:自分に合った海図を選ぶ
本記事では、一般的な人生設計と、お金を増やすことを重視する人生設計を比較してきました。
現代を生きる現役世代にとって、過去の前提に基づいた設計だけに頼るのはリスクがあります。情報を更新し、健康寿命と資産寿命を意識した設計を取り入れることが重要です。
そのうえで、より自由度の高い人生を目指すなら、人と同じ行動だけではたどり着けません。異なる選択、異なる努力が必要になります。
どの海図を選ぶかは、自分次第です。
大切なのは、自分に合わない海図を無意識に使い続けないこと。納得できる航路を選び、主体的に人生設計を描いていきましょう。