2024年1月24日、日本銀行は金融政策決定会合において、政策金利を0.5%に引き上げる追加利上げを決定しました。これは実に17年ぶりの水準であり、「ついに本格的な利上げ局面に入ったのではないか」と大きな注目を集めています。
ニュース番組や新聞でも、「次の利上げは7月か」といった見通しが語られ、今後も金利が上がっていく可能性が意識される状況です。
では、この日銀の利上げによって、私たちの生活はよくなるのでしょうか。それとも、苦しくなるのでしょうか。
結論を急ぐ前に、「金利が上がると生活のどこに、どんな影響が出るのか」を一つずつ整理してみましょう。
金利が上がると、何が変わるのか

金利とは、「お金の貸し借りにかかる値段」のようなものです。
日銀が政策金利を引き上げると、その影響は銀行を通じて私たちの家計に広がっていきます。
影響は大きく分けて、次の2つです。
- 受け取れる利息が増える
- 支払う利息が増える
同じ「利息」でも、受け取る側に回るか、支払う側に回るかで、生活への影響は正反対になります。
生活がよくなる要因:預金利息が増える
まずは、生活にとってプラスとなる側面から見てみましょう。
金利が上がると、銀行預金でもらえる利息が増えます。
最近ではネット銀行を中心に、普通預金でも比較的高い金利を提示する銀行が増えてきました。
例えば、条件付きではありますが、
- 東京スター銀行:年0.4%
- auじぶん銀行:年0.31%
- SBI新生銀行:年0.3%
といった水準の普通預金金利が見られます。
日銀が利上げを行うと、こうした銀行の金利水準も引き上げられやすくなります。実際に、今回の追加利上げを受けて、島根銀行では普通預金金利を一部0.5%に引き上げると発表しました。
仮に100万円を預けている場合、
- 金利0.3%なら、年3,000円の利息
- 金利0.5%なら、年5,000円の利息
差額は2,000円です。
正直に言えば「スズメの涙」と感じるかもしれませんが、確実に受け取れるお金が増えるという点は見逃せません。
定期預金の金利も同様に上がっていくため、現金や預金を多く持っている人にとっては、利上げは歓迎すべきニュースになります。
生活が苦しくなる要因:支払う利息が増える

一方で、利上げによるマイナスの影響もあります。
それが、支払う利息の増加です。
特に影響が大きいのが、住宅ローンを変動金利で借りている人です。
日銀が利上げをすると、まず影響が出るのが変動型の住宅ローン金利だからです。
日経新聞が公表したシミュレーションでは、次のような試算が示されています。
約1年前に変動金利で4,500万円を35年返済で借りた場合、直近2回の利上げによって、毎月の返済額は約8,000円増加する。
月8,000円ということは、年間で約10万円の負担増です。
さらに、住宅ローン減税の控除率(0.7%)を金利が上回ると、これまで言われてきた「借り得」の状況も変わってきます。
このように、借金をしている人にとっては、利上げは家計を直撃する出来事になります。
日本全体で見ると、プラスかマイナスか
では、日本の家計全体で見ると、今回の0.5%への追加利上げはプラスなのでしょうか、マイナスなのでしょうか。
結論から言うと、家計全体ではプラス効果のほうが大きいとされています。
預金利息の増加、定期預金の利息増、その他の金融収益の増加を合計すると、住宅ローンなどによる利息負担の増加を差し引いても、トータルでは約0.56兆円のプラスになるという試算があります。
経済の話は難しく感じがちですが、「どこで増えて、どこで減って、合計するとどうなるか」という視点を持つだけで、理解しやすくなります。
利上げはシニア優遇?世代間で違う影響

ただし、「家計全体でプラス」という話と、「自分の家計がプラスかどうか」は別問題です。
特に注目すべきなのが、世代による違いです。
借金を多く抱えている現役世代では、
受け取れる利息よりも、支払う利息の増加のほうが大きくなり、家計収支はマイナスになりやすい傾向があります。
一方で、60歳以上のシニア世代では、
- 住宅ローンの返済が進んでいる
- 借金が少ない
- 金融資産を多く保有している
といった理由から、利上げによる影響は比較的プラスになりやすいのです。
つまり、利上げは現役世代には厳しく、シニア世代には追い風になりやすいという側面があります。
経済ニュースを見るときに大切な視点
今回のような大きな経済イベントが起きたときには、
- 全体としてどんな影響があるのか
- 自分にはどんな影響があるのか
- 得をする人は誰で、損をする人は誰か
こうした視点で考えることがとても大切です。
なぜなら、それができるようになると、自分にとって有利なポジションを選べるようになるからです。
お金の世界は、「有利な場所を見つけ、そこに移動し、環境が変わったらまた移動する」というゲームのようなものです。
何も考えずに同じ場所に立ち続けていると、気づかないうちに不利な状況に追い込まれてしまいます。
まとめ
日銀は政策金利を0.5%に引き上げ、17年ぶりの水準となりました。
「金利のない世界」から「金利のある世界」へ、日本経済は確実に転換点を迎えています。
利上げによる影響は、
- プラス:預金などで受け取れる利息が増える
- マイナス:住宅ローンなどで支払う利息が増える
という、非常にシンプルな構造です。
重要なのは、「トータルで自分はプラスなのか、マイナスなのか」を意識すること。
何も対策をしなければ、利上げ局面では生活がじわじわ苦しくなる人も出てきます。
だからこそ、経済ニュースを他人事にせず、自分の生活に引きつけて考えることが、これからの時代にはますます重要になっていくでしょう。