お金の世界に一歩踏み出すあなたへ――「お金の言葉」を学ぶという、やさしく確かな第一歩

資産運用を始めようと思ったとき、多くの方が最初に戸惑うのは「数字」や「リスク」ではなく、実は言葉なのではないでしょうか。
金融緩和、長期金利、貸借対照表、上場投資信託、信託報酬――
これらの言葉を、誰かに説明できるほど理解している方は、いったいどれくらいいるでしょうか。正直なところ、この五つをすべて正確に説明できる方は、そう多くないかもしれません。
日本は「識字率ほぼ100%」の国だと言われています。読み書きができないことで日常生活に困る人は、ほとんどいません。しかし、お金の世界に目を向けてみると、事情は少し異なります。
お金に関する言葉を読めない、意味がわからない、正しく使えない――そんな「お金の非識字状態」にある方が、実はとても多いのです。
世界子供白書2023によれば、世界全体では15歳から24歳の若者のうち、約1割が読み書きに困難を抱えています。読み書きができないことは、社会生活において大きな不利になります。それと同じことが、いま日本では「お金の分野」で起きていると言えるでしょう。
お金の言葉を知らないということは、選択肢を失うこと
資産、負債、控除、扶養、金利――
これらはすべて、お金の世界で日常的に使われる言葉です。しかし、意味を曖昧なままにしていると、知らず知らずのうちに損をしてしまうことがあります。
税金の控除を正しく理解していなかったために、受けられるはずの制度を使えなかった。
契約書に書かれた金融用語がわからず、内容を十分に理解しないままサインしてしまった。
こうしたことは、決して珍しい話ではありません。
基本的な「お金の読み書き」ができないことで、状況を正しく判断できず、望まない結果を招いてしまう――これはとてももったいないことです。
かつてアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)議長を務めたアラン・グリーンスパン氏は、次のような言葉を残しています。
「文字を知らないと生活に支障をきたすが、金融についての無知は生存を危うくするから、より恐ろしい」
少し強い表現ですが、資本主義社会に生きる私たちにとって、この言葉は決して大げさではありません。お金は、生活の土台であり、選択の自由を支える存在だからです。
誰もが、お金の言葉を学べる

日本では2022年から、ようやく金融教育が学校で必修化されました。しかし、すでに大人になった私たちにとっては、「今からどう学ぶか」が何よりも大切です。
そこでおすすめしたいのが、FP3級や簿記3級といった資格への挑戦です。
ファイナンシャル・プランニングとは、人生の夢や目標を実現するために、お金の面から計画を立てること。FPの学習を通じて、金融、税制、保険、年金、不動産など、暮らしに直結する知識を体系的に身につけることができます。
簿記3級も同様です。会社や個人のお金の流れを「見える化」するための言葉を学ぶことで、ニュースや決算書が少しずつ理解できるようになります。
子どもの頃、漢字検定や英検を受けた経験がある方も多いでしょう。その感覚で構いません。検定試験は、その分野の言葉を効率よく学ぶための、よく整えられた道しるべなのです。
週に2つ、新しい「お金の言葉」を
お金に強い人は、500〜600ほどの金融用語を自然に使いこなしていると言われます。一方で、資産運用に不安を感じている人は、その語彙がまだ十分ではないだけかもしれません。
ここで、ひとつ宿題を提案させてください。
一年間で、お金の言葉を100個増やすこと。
週に2つ、新しい言葉を知るだけで達成できます。
意味を調べ、例を考え、自分の言葉で説明してみる。それだけで、世界の見え方は驚くほど変わります。
英語がわからないまま海外旅行に行くと、雰囲気でしか状況を理解できません。それと同じで、お金の言葉を知らなければ、経済や投資の世界も「なんとなく」でしか捉えられないのです。
お金の言葉は、人生を照らす道具

お金の言葉を学ぶことは、決して難しい専門家になるためではありません。
自分の人生を、よりクリアに、より安心して歩んでいくための準備です。
焦る必要はありません。少しずつ、こつこつと。
本や記事、講座や資格試験など、さまざまな媒体を通じて、お金の世界と言葉に親しんでいきましょう。
読み書きができるようになると、文字通り、世界は開き始めます。
あなたの資産運用の第一歩が、「お金の言葉」と出会うやさしい時間になりますように。