オルカン最高値更新――誰一人、負けていないという事実
最近の経済ニュースの中に、静かではありますが、心を明るくしてくれる話題がありました。
日経新聞によると、新NISAで最も人気のある投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」が、基準価格の史上最高値を更新したというのです。2025年7月15日時点で、その価格は2万8,320円。これは、多くの投資家にとって、長く待ち続けた一つの節目と言えるでしょう。
オルカンとは何か――世界を丸ごと抱きしめる投資

オルカンとは、「全世界株式(オール・カントリー)」に投資するインデックス型の投資信託です。
日本やアメリカだけでなく、ヨーロッパや新興国まで、世界中の企業に少しずつ分散して投資します。
難しく聞こえるかもしれませんが、たとえるなら「お弁当の詰め合わせ」です。
一品一品を選ぶ必要はなく、肉も魚も野菜も、バランスよく入ったお弁当を丸ごと買うようなものです。どれか一つが不調でも、ほかが支えてくれる――それが分散投資の力です。
投資信託とインデックス投資の基本
投資信託とは、多くの人から集めたお金を、運用の専門家がまとめて運用する金融商品です。その中でも、オルカンは「インデックス型」と呼ばれる種類に属します。
インデックス型とは、日経平均株価や世界の株価指数など、市場全体の動きに連動することを目指す仕組みです。一方で、指数以上の成果を狙う「アクティブ型」もありますが、長い年月で見ると、市場全体の成長に素直に乗るインデックス型が安定しやすいとされています。
最高値更新が意味する、静かな真実
今回の史上最高値更新が意味することは、実にシンプルでわかりやすいです。
これまでオルカンを購入した人で、損をしている人は、現時点では一人もいない、という事実です。始めた時期が多少違っても、時間を味方につけた結果、全員が含み益を得ています。
もちろん、途中で何度も値下がりはありました。2025年4月の「トランプショック」では、多くの方が不安を感じたことでしょう。その際、一時的に積み立てを止めたり、売却を考えたりした方も少なくありません。
暴落のあとに訪れるもの――「稲妻の輝く瞬間」

株式投資の世界には、「稲妻の輝く瞬間」という知るべき言葉があります。
これは、株価がごく短期間で大きく上昇する瞬間のことです。そして皮肉なことに、その多くは暴落の直後に訪れます。
恐ろしくなって市場から離れてしまうと、その稲妻を見ることはできません。今回の急回復も、まさにそうした瞬間でした。悲観が広がったあと、株価は何事もなかったかのように立ち直ったのです。
インデックス投資の二つの大原則
インデックス投資には、守るべき大切な原則があります。
一つ目は、「タイミングを読まない」ことです。
10年、20年という長い時間で見れば、今日の株価は将来から見て安い位置にあることが多いのです。
二つ目は、「勝ち負けを個別に予想しない」ことです。
どの企業が生き残るかを当てるのは非常に難しいですが、世界経済全体の成長を信じることは、はるかに現実的です。
最大の敵は、自分自身

投資の世界には、こんな格言があります。
「我々はすでに敵に出会っている。それは我々自身だ。」
恐怖や焦りに振り回され、冷静な判断を失うことこそが、最大の失敗原因です。相場が荒れたときこそ、静かに構え、決めた方針を守る勇気が求められます。
投資は人生の主役ではない
最後にお伝えしたいのは、投資は人生のすべてではない、ということです。
オルカンのような良いファンドを持っているなら、あとは過度に触らず、時間に任せる。それで十分です。
空いた時間は、家族と語らい、友人と笑い、健康や学びに有効に使ってください。
お金も時間も、人生を豊かにするための道具です。
穏やかな心で投資と向き合い、賢く時間を使う。
それこそが、インデックス投資の本当の神髄なのかもしれません。