中古マンション購入は慎重に
― ジャンピングキャッチを避けるために考えるべきこと ―
近年、中古マンション市場に変化の兆しが見え始めています。ここ10年ほど、住宅を購入した人たちは「結果的に得をした」と言われることが多く、その中心にあったのがマンション価格の上昇でした。実際、価格の推移を見てみると、かつての購入価格から1.5倍、場合によっては2倍近くにまで上昇した例も珍しくありません。こうした実績を見ると、「住宅を買えば資産が増える」という印象を持つ人も多いでしょう。
しかし、過去の成果があったからといって、同じ状況が今後も続くとは限りません。筆者自身は現在も賃貸住宅を選択しており、マイホームの購入については常に慎重であるべきだと考えています。その理由を理解するためにも、最近報じられている中古マンション市場の動きを整理してみましょう。
都市圏で広がる価格の二極化
最近の市場動向を見てみると、都市圏全体で一律に価格が上昇しているわけではなく、地域ごとの格差が広がっていることが分かります。特に、利便性が高く需要が集中する一部の中心エリアを除き、周辺地域では価格の伸びが鈍化し、「頭打ち感」が出てきていると指摘されています。
この背景については、「その地域で一般的に購入できる価格帯の上限に、すでに近づいているのではないか」という見方があります。つまり、買いたい人がいても、これ以上高い価格では手が届かない層が増えてきている、という状況です。
マンション購入者は大きく二種類

マンションを購入する人は、大きく分けると二つのタイプに分類できます。一つは、自分や家族が住むために購入する、いわゆる一般的な給与所得者層。もう一つは、将来的な値上がりや賃料収入を目的とした投資家層です。
投資家も積極的に購入するような人気エリアの物件は、引き続き需要が底堅い可能性があります。しかし、主に一般の居住目的の人たちが購入する物件については、すでに価格が限界に近づいているのではないか、という懸念が出ています。
不動産価格を左右する最大の要因
ここで重要な問いがあります。不動産価格に最も大きな影響を与えるものは何でしょうか。立地や築年数、設備などももちろん重要ですが、実はそれ以上に影響力が大きいのが「金融機関の融資姿勢」です。
不動産は数千万円単位の高額な商品であり、全額を自己資金で購入できる人はごく少数です。多くの人は住宅ローンなどを利用し、金融機関から資金を借りて購入します。そのため、金融機関が「どれだけ貸してくれるか」「誰に貸してくれるか」が、市場全体の動向を大きく左右するのです。
金融機関が積極的に融資を行えば、購入できる人が増え、需要が高まり、結果として価格は上昇しやすくなります。反対に、融資が厳しくなれば、購入できる人は減り、需要が落ち込み、価格は下がりやすくなります。
金利上昇がもたらす影響

過去には、金融機関が不動産向けの融資に消極的になり、市場全体が冷え込んだ時期がありました。当時は、融資を受けられない人が多く、現金を持っている人が有利に物件を購入できる状況でした。その結果、不動産価格は大きく下落しました。
現在は、金利の上昇が話題になることが増えています。住宅ローン金利が上がると、金融機関の立場から見ると、「貸しても問題ない」と判断できる人が減り、同時に「貸せる金額」も小さくなります。金利が低ければ無理なく返済できた人でも、金利が上がることで返済負担が重くなり、融資対象から外れてしまうことがあるのです。
この結果、借りられる人が減り、借りられる金額も減少します。そうなると、市場で購入される物件価格の水準も下がり、不動産市場全体が停滞する可能性が出てきます。
ジャンピングキャッチのリスク
価格が高値圏にあるときに購入する、いわゆる「ジャンピングキャッチ」は、不動産においても大きなリスクを伴います。金利が上昇し、融資が厳しくなる局面では、所有者にとって厳しい状況が重なります。
具体的には、住宅ローンの返済額が増える一方で、物件の市場価値が下がる可能性があります。仮に金利がわずかに上がっただけでも、総返済額は数百万円単位で増えることがあります。そこに市場価格の下落が重なれば、「売却してもローンを完済できない」という状態に陥るリスクも出てきます。
価値が下がる資産に対して、高い金利を払いながら返済を続ける状況は、家計にとって大きな負担です。本来目指していたはずの安定した生活や自由な選択肢から、むしろ遠ざかってしまうこともあり得ます。
マイホーム購入の本質を理解する

「住宅を買って資産が増えた」「大きな利益が出た」という話を聞くと、自分も同じようにできるのではないかと期待する気持ちは自然なものです。しかし、マイホームの購入は本質的には不動産投資と同じ側面を持っています。利益が出ることもあれば、大きな損失を被る可能性もあります。
十分な知識や覚悟がないまま、勢いや周囲の成功談だけで判断するのは非常に危険です。特に、金利が低い状況で価格が高騰しているタイミングでの購入は、将来的な負担を重くする可能性があります。
まとめ
中古マンション市場の一部では、すでに価格の伸びが鈍化し、頭打ち感が見え始めています。これからマイホームの購入を検討する人は、過去の成功事例に惑わされず、現在の市場環境と将来のリスクを冷静に見極めることが重要です。
購入を決断するのであれば、自ら学び、不動産投資の視点で物件を見る力を身につけることが欠かせません。また、住宅購入を扱う立場ではなく、実際に不動産投資で結果を出している人の考え方に触れることで、新たな気づきを得られることもあるでしょう。慎重な判断こそが、後悔しない選択につながります。