「手取りほぼ100%」で育休が取れる時代へ

2025年4月から、育児休業給付金が大きくパワーアップします。
「育休を取りたい気持ちはあるけれど、収入が減るのが不安」
そんな声に応える形で、新たな給付金制度がスタートします。
自分や配偶者は対象になるのか、どんな条件があるのか。
今回は、制度の基本から新制度の狙いまで、まとめて整理していきます。
まずは押さえたい、産休・育休の基本給付
出産前後で受け取れる主な給付金は、次の3つです。
① 出産育児一時金
出産費用として、原則約50万円が支給されます。
健康保険から支給され、多くの場合は病院への直接支払いで処理されます。
② 出産手当金
産前6週間+産後8週間の期間について、
給与の約3分の2が支給される制度です。
これは主に、会社員や公務員の女性が対象になります。
③ 育児休業給付金
育休中の生活を支える制度で、
- 育休開始~180日目まで:給与の67%
- 181日目以降:給与の50%
が支給されます。
ここまでは、これまでの基本的な仕組みです。
新しく始まる「上乗せ給付」とは?

2025年4月から、育児休業給付金に新たな上乗せ制度が追加されます。
その名も「出生後休業支援給付金」。
育休給付金にさらに給付金を上乗せする制度で、
一定の条件を満たすと、給与の80%相当が支給されます。
しかもこの給付金は、
- 非課税
- 育休中は社会保険料が免除
という特徴があります。
そのため、手取りベースで考えると、ほぼ100%に近い水準になります。
「育休を取っても、手取りはほとんど変わらない」
そんな状態をつくるのが、この制度の大きなポイントです。
なぜ新しい給付金が作られたのか?
ここで、制度の目的について考えてみましょう。
この給付金が作られた最大の目的は、
男性の育休取得を増やすことです。
女性の育休取得はすでに一般的になっていますが、
男性の育休取得率は、いまだ3割程度にとどまっています。
政府はこれを、
- 2025年までに50%
- 2030年までに85%
まで引き上げたいと考えています。
男性が育休を取らない最大の理由
男性が育休を取らない理由の第1位は、
**「収入が減るから」**です。
育児への意欲があっても、
「家計を考えると自分は休めない」
そう感じる家庭は少なくありません。
この“収入減の不安”を制度でカバーし、
「安心して育休を取れる環境」を整える。
それが、今回の上乗せ給付の狙いです。
なぜ国は男性育休をそこまで重視するのか?
背景にあるのは、少子化対策です。
データから、次のようなことが分かっています。
- 夫の家事・育児時間が長いほど、第二子以降の出生率が高い
- 育休を取得した男性は、その後も家事・育児に積極的になる
- 男性の家事・育児参加は、夫婦関係の満足度にも影響する
特に、出産直後の時期は重要です。
産後の女性の身体は、
「全治1~2か月の交通事故にあった状態」に近いとも言われます。
また、産後うつのリスクが高まるのも、出産後3か月程度まで。
この時期にパートナーがどれだけ関われるかが、
家庭のその後を大きく左右します。
出生後休業支援給付金の支給条件
では、具体的な条件を見ていきましょう。
基本条件
- パパ:子どもが生まれてから8週間以内に、14日以上育休を取得
- ママ:産後休業終了後8週間以内に、14日以上育休を取得
この条件を満たすと、夫婦それぞれが給付金を受給できます。
支給期間
- 手取り100%相当になるのは、最大28日間
例外ケース
以下の場合は、本人のみの育休取得でOKです。
- 配偶者が産後休業中
- 配偶者が自営業・フリーランス
- 配偶者が無業者
できるだけ多くの人が対象になるよう、
要件はかなり緩やかに設計されています。
制度から見える国のメッセージ
今回の制度からは、はっきりしたメッセージが読み取れます。
- 収入面の不安は国がカバーする
- だから、育休を理由に遠慮しなくていい
- 特に男性は、もっと育休を取ってほしい
限られた期間ではありますが、
「手取りが減らない育休」は大きな安心材料です。
まとめ:出産を控える家庭が知っておくべきポイント

- 2025年4月から、育休給付金に上乗せ制度がスタート
- 条件を満たすと、最大28日間、給与の80%(手取りほぼ100%)を受給可能
- 主な目的は、男性育休の取得促進
- 家計不安を減らし、育児に集中できる環境づくりが狙い
出産・育児は、生活も働き方も大きく変わるタイミングです。
制度を正しく知っているかどうかで、選択肢は大きく変わります。
これから出産を控えているご夫婦は、
ぜひ今回の制度を覚えておき、早めに話し合ってみてください。