近年、ふるさと納税は「節税しながら地域を応援できる制度」として広く定着しました。これまで何度も「やったほうがいい制度」として紹介されてきた方も多いでしょう。そんな中、経済紙において、大手海外系の通販事業者がふるさと納税の仲介事業に参入したというニュースが報じられました。
これまでふるさと納税は、主に国内の仲介サービスを通じて行うのが一般的でしたが、ここに新たな選択肢が加わった形です。では、この新しい仲介サービスは、私たち利用者にとって本当にメリットがあるのでしょうか。本記事では、その特徴と注意点を整理しながら、現時点での最適な判断について考えていきます。
新たな仲介サービスの結論
「現時点では急いで利用せず、一定期間は様子を見るべき」
結論から言えば、現段階では新規参入した仲介サービスを積極的に選ぶ必要性は高くありません。少なくとも、制度面の大きな変更が予定されている時期以降に、改めて検討するのが賢明だと考えられます。
では、なぜそのような判断になるのか。まずは新しい仲介サービスの「強み」から見ていきましょう。
新規参入した仲介サービスの強み

① 仲介手数料が低く抑えられる可能性
従来の国内仲介サービスでは、自治体が支払う手数料はおおよそ一割前後とされてきました。一方で、新規参入した事業者は、より低い手数料での運営を目指しているとされています。
もし実際に手数料が下がれば、その分、
・返礼品の量が増える
・返礼品の品質が向上する
といった形で、利用者に還元される可能性があります。これは制度本来の「寄付金を地域に役立てる」という趣旨にも合致する点です。
② 高度に整備された配送体制
もう一つの強みは、物流インフラの充実です。配送網が整っている事業者が仲介に入ることで、返礼品が早く、確実に届くという利便性が期待されます。
「申し込んだのに、なかなか届かない」というストレスが減る点は、確かに魅力といえるでしょう。
それでも「今は様子見」とする理由

一見するとメリットが多そうに見える新サービスですが、現時点では慎重な姿勢をおすすめしたい理由が2つあります。
理由① 制度変更と「ポイント還元」の問題
現在、ふるさと納税では、寄付に応じてポイントなどの付加的な還元を受けられる仲介サービスが多く存在します。一定額の寄付をすることで、返礼品とは別に実質的な上乗せメリットを得られる仕組みです。
しかし、国は将来的に、ふるさと納税における過度なポイント付与を制限する方針を示しています。背景には、
・ポイント原資が自治体の負担になっている
・制度が「お得競争」になりすぎている
といった問題意識があります。
もしポイント付与が継続されるのであれば、現行の国内仲介サービスの方が、利用者にとって実質的に有利な状況は続くでしょう。少なくとも、ポイント付与が確実に受けられる期間中に、あえて新サービスへ移行する理由は乏しいといえます。
理由② 新サービス特有の不便さと不確実性
もう一つの理由は、始まったばかりのサービスならではの課題です。
例えば、
・オンラインでの簡易な税控除手続きに対応していない
・寄付をまとめた証明書の発行ができない
・確定申告時の手続きが煩雑になる
といった注意点が示されています。これは一言でいえば、「他の仲介サービスより手続きが面倒になる可能性がある」ということです。
また、
・返礼品の種類がまだ限定的
・他サービスと比べて、量や質で明確な優位性が感じられない
といった点も否めません。
さらに、海外資本の事業者が仲介に入ることに対し、「税金が国外に流れるのではないか」という懸念の声があるのも事実です。こうした点から見ても、現時点で急速に普及するかどうかは未知数と言えるでしょう。
まとめ:大切なのは「制度を使うこと」そのもの

ふるさと納税は、やるかやらないかで言えば、やらない理由が見当たらない制度です。自己負担を抑えながら、実質的なメリットを受けられる点は変わりません。
一方で、
「どの仲介サービスを使うか」で得られる差は、現時点ではそこまで大きくありません。重要なのは、新しいものに飛びつくことではなく、
・制度のルール
・将来の変更点
・自分にとっての手続きのしやすさ
を冷静に見極めることです。
今後、制度変更が実施され、サービス内容が成熟してきた段階で改めて比較検討すれば十分でしょう。それまでは、無理に乗り換える必要はなく、これまで通り、自分にとって使いやすい方法でふるさと納税を活用していくことをおすすめします。