経済的に安心できる「ファイナンシャル・ウェルビーイング」について解説

経済的に安心できる「ファイナンシャル・ウェルビーイング」について解説

「ウェルビーイング」って何?

最近、テレビやSNSなどで「ウェルビーイング(Well-being)」という言葉を耳にすることが増えましたよね。
これは「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」を意味します。
単なる「健康」よりも広い概念で、「幸せで満たされている状態」とも言い換えられます。

この考え方をお金の分野に当てはめたのが**ファイナンシャル・ウェルビーイング(Financial Well-being)**です。
つまり、「経済的に安心できる状態」「お金の心配に縛られず、自分らしく生きられる状態」を指します。

お金と幸せの関係 ― ファイナンシャル・ウェルビーイング度とは?

お金と幸せの関係 ― ファイナンシャル・ウェルビーイング度とは?

簡単に言えば、

  • お金に困っていない人はファイナンシャル・ウェルビーイング度が高い。
  • お金の不安が大きい人はファイナンシャル・ウェルビーイング度が低い。

……こういう関係になります。
しかし、実際には「お金が多ければ安心できる」という単純な話ではないんです。

三井住友トラスト・資産のミライ研究所が約6,000人を対象に行った調査によると、
ファイナンシャル・ウェルビーイング度には次のような傾向があると報告されています。

調査結果から見える3つの特徴

  • 金融資産がある人の方がウェルビーイング度が高い

まず最初の傾向は、やはり「金融資産の多い人ほど安心している」ということ。
グラフを見ると、資産が増えるにつれて「お金の不安が少ない」と感じる人の割合が増加し、
逆に不安を感じる人の割合は減っています。

つまり「ある程度の資産があること」は、経済的安心を支える土台になるという“当たり前のリアル”が見えてきます。

年齢が上がってもウェルビーイング度は上がらない?

次の結果が少し興味深い点です。
年齢が上がるにつれて資産額は増える傾向があります。
たとえば、1,000万円以上の金融資産を持つ人は20代では1割未満ですが、60代では約4割に達します。

ところが──
ファイナンシャル・ウェルビーイング度を年代別にみると、大きな差がないどころか、
40代・50代の満足度はむしろ若い世代より低い傾向にあるのです。

なぜでしょうか?

その理由として考えられるのが、出費の増加です。
住宅購入、子どもの教育費、親の介護など、人生の大きなライフイベントが重なる時期です。
また、自分自身の老後を意識し始める年齢でもあります。
収入や資産が増えても、「将来の不安」が膨らむことで、経済的な安心感はむしろ薄れていくのです。

この結果は、「お金を貯めること=幸せになること」ではない、という現実を教えてくれます。

ファイナンシャル・ウェルビーイング度が高い人は「年収の3〜5倍の資産」を持つ

ファイナンシャル・ウェルビーイング度が高い人は「年収の3〜5倍の資産」を持つ

調査によると、ファイナンシャル・ウェルビーイング度が高い人は、
50代にかけて年収の3〜5倍程度の金融資産を持っている傾向があるといいます。

ここでポイントになるのが「資産の年収倍率」という考え方です。

資産の年収倍率とは?

資産の年収倍率とは、

「自分の持っている資産が年収の何倍あるか」
を示す指標です。

たとえば、

  • 資産600万円
  • 年収400万円

の場合、
600万円 ÷ 400万円 = 1.5
つまり「資産の年収倍率は1.5倍」ということになります。

では、ウェルビーイング度の高い人はどのくらいの倍率を持っているのでしょうか。

調査では次のような傾向が示されています。

ファイナンシャル・ウェルビーイング度資産の年収倍率(60代)
高い人約5.4倍
中くらいの人約2.7倍
低い人約1.3倍

この差は明らかです。
年齢に関係なく、資産の年収倍率が高い人ほど、経済的に安心を感じているのです。

なぜ「倍率」で見ることが大事なのか?

多くの人が「資産の絶対額」に目を向けがちですが、
実際に大切なのは「自分の生活規模とのバランス」です。

たとえば、
1億円の資産があっても、年間の生活費が1億円なら1年で尽きてしまいます。
一方で、5,000万円の資産でも年間の生活費が250万円なら、20年暮らせます。

つまり「お金をどれだけ持っているか」よりも、
「どれだけ長く安心して生活できるか」が、本当の意味での経済的な余裕なのです。

ファイナンシャル・ウェルビーイングを高めるための3つの視点

ファイナンシャル・ウェルビーイングを高めるための3つの視点

① 資産を「増やす」だけでなく「整える」

無駄な支出を減らし、将来の目標に合わせた資産形成を行うこと。
家計の見直しや、リスクに応じた投資も「安心」の基盤になります。

② 年収と支出のバランスを意識する

年収が増えても支出が増えれば意味がありません。
「収入の範囲で満足する」感覚を持つことが、心の安定につながります。

③ 不安を“見える化”して行動する

「何に不安を感じているのか」を明確にし、
保険や貯蓄、学びで少しずつ対策していく。
“漠然とした不安”を具体的な行動に変えることが、安心への第一歩です。

ファイナンシャル・ウェルビーイングの本質

結局のところ、
ファイナンシャル・ウェルビーイングとは「数字」だけでは測れません。
それは、

  • 生活費を支払っても心に余裕がある
  • 将来の計画を立てるのが楽しみ
  • お金の話を家族とポジティブにできる

──そんな日常の積み重ねがつくる「安心感」のことです。

経済的自立やFIRE(早期リタイア)を目指す人も増えていますが、
重要なのは「資産額」よりも「自分にとってちょうどいい安心感」を持てること
その目安として、年収の3〜5倍の資産があれば、
多くの人にとって「お金の不安を感じにくい状態」と言えるでしょう。

まとめ

  • ファイナンシャル・ウェルビーイングとは、経済的に安心できる状態のこと
  • 金融資産の多い人ほど安心感は高いが、年齢が上がるほど必ずしも幸福度が上がるわけではない。
  • 重要なのは「資産の年収倍率」。3〜5倍を目安にすると、経済的な安心を感じやすい
  • お金の絶対額よりも、「自分の生活規模と心の余裕」を見つめることが大切。

ファイナンシャル・ウェルビーイングとは、お金を貯める技術ではなく、お金と心を整える技術です。
あなたにとっての「経済的に安心できる暮らし」はどんな形ですか?
今日から少しずつ、自分のウェルビーイングを見つめ直してみましょう。