社会保障クイズ「介護離職」

介護離職を後悔しないために知っておきたい現実と備え方

介護離職を後悔しないために知っておきたい現実と備え方

家族の介護が必要になったとき、「仕事を辞めて介護に専念する」という選択肢が頭をよぎる方は少なくありません。実際に介護離職を経験した人の中には、「親のそばにいられてよかった」「精神的に楽になった」「介護費用を抑えられた」と感じる人がいるのも事実です。

しかし一方で、介護離職を後悔している人が非常に多いことも、見過ごせない現実です。介護離職には想像以上に大きなデメリットがあり、精神面・肉体面・経済面のすべてにおいて、かえって負担が増えてしまうケースも少なくありません。介護離職は感情だけで判断するべきものではなく、慎重に考える必要があります。

「仕事をしながらの介護はつらい」だけで辞めてはいけない理由

介護離職を考える理由としてよく挙げられるのが、「仕事と介護の両立が体力的にも精神的にも限界だから」というものです。確かに、働きながら介護を行うことは簡単ではありません。睡眠不足や精神的な疲労が重なり、追い詰められてしまうこともあるでしょう。

しかし、だからといってすぐに仕事を辞めてしまうと、状況が良くなるとは限りません。各種調査でも、介護離職をした人は、離職前よりも精神的・肉体的・経済的な負担が増えたと感じる割合が高い傾向にあります。仕事を辞めれば時間的な余裕は生まれますが、収入が途絶えることで将来への不安が一気に増してしまうのです。

介護離職が起こりやすい年代と再就職の現実

介護離職が起こりやすい年代と再就職の現実

介護に直面する人が最も多いのは、働き盛りである40代から50代です。この年代は、仕事でも責任が重くなり、収入面でも人生のピークを迎えていることが少なくありません。

この時期に離職すると、再就職のハードルは一気に上がります。離職期間が長くなればなるほど、ブランクが問題視されやすくなり、希望する条件での再就職が難しくなってしまいます。結果として、収入が大幅に下がったり、不安定な働き方を余儀なくされたりするケースも多く見られます。

介護はいつか終わる可能性がありますが、仕事を辞めた影響は、その後の人生に長く残ることを忘れてはいけません。

介護離職を選ばずに済む人がやっていること

介護離職を回避できている人には共通点があります。それは、「介護が始まったから考える」のではなく、「介護が始まる前から備えている」という点です。介護は、突然発生することもありますが、多くの場合、将来的に起こりうることが予測できるリスクでもあります。

だからこそ、事前に働く環境や制度について理解し、いざというときに使える選択肢を知っておくことが重要です。何も準備がない状態で介護に直面すると、「辞める」以外の選択肢が見えなくなってしまいます。

介護に直面したとき、まずやるべきこと

実際に介護が始まった場合、いきなり仕事を辞めるのではなく、まずは介護体制を整えることが最優先です。介護が始まった直後は、想像以上にやるべきことが多く、冷静な判断が難しくなります。

例えば、一時的に仕事を休み、介護の全体像を把握する時間を確保することが大切です。その間に、介護の計画を立て、専門家に相談し、必要な手続きを進めていきます。役所への申請や書類の提出など、初期段階で済ませておくべきことも少なくありません。

こうした準備を整えることで、介護を「一人で抱え込まない」体制を作ることができます。

介護休業制度という選択肢

介護に直面したときに活用できる制度の一つが、一定期間仕事を休むことができる仕組みです。この介護休業制度を利用すれば、雇用関係を維持したまま介護に向き合う時間を確保できます。

介護が始まった直後は、状況が落ち着くまで時間が必要です。その間に、外部サービスの利用や家族との役割分担を決めることで、仕事と介護を両立できる可能性が高まります。

そのため、日頃から「介護休業制度の取得実績がある職場かどうか」を意識しておくことも重要です。働く環境を選ぶ際には、目先の条件だけでなく、将来的なリスクへの対応力も考慮する必要があります。

介護は「分かっているリスク」だからこそ備えられる

介護は「分かっているリスク」だからこそ備えられる

介護は、災害や事故のように完全に予測不可能なものではありません。いつか直面する可能性が高いと分かっているリスクだからこそ、事前に備えることができます。

仕事ができなくなるリスクを抑えるためには、「介護に直面してから働き方を見直す」のではなく、「先々を見据えて働く環境を整えておく」ことが大切です。柔軟な働き方ができる職場か、制度を利用しやすい雰囲気があるか、といった点は、将来の安心につながります。

まとめ:介護離職は最後の手段として考える

介護離職には一定のメリットがあるのは確かですが、その裏には大きなリスクと長期的な影響があります。「仕事と介護の両立がつらいから」という理由だけで離職を決断するのは、決しておすすめできません。

まずは介護体制を整え、制度や外部の力を活用し、働きながら介護を続ける道を探ることが重要です。介護は個人の問題ではなく、社会全体で支えるべき課題でもあります。

将来に備えて働く環境を整えておくことは、自分自身だけでなく、家族を守ることにもつながります。介護離職を「当たり前の選択」にしないためにも、早い段階から正しい知識と準備を持っておくことが大切です。