すごいの来た?FIREしたい人向けファンド新登場を冷静に考える
「できるだけ早く働くことから解放されたい」
「お金の不安なく、自分の人生を自由に生きたい」
こうした思いから、経済的に自立し、早期にリタイアする生き方を目指す人が増えています。いわゆるFIREと呼ばれる考え方ですね。今ではFIREに関する情報は、書籍、動画、SNSなどを通じて溢れかえっています。
その結果、多くの人がこんな状況に陥っています。
「この株を買うべきだという人がいる」
「いや、別の投資先の方が良いと言う人もいる」
「あのファンドはダメだ」
「こっちのファンドこそ正解だ」
情報が多すぎて、結局どれを信じればいいのか分からない。FIREを目指す真面目な人ほど、こうした悩みを抱えやすいものです。
そんな中で登場したのが、「FIREを目指す人のために作られたファンドが誕生した」というニュースです。FIRE達成に特化したファンドが複数登場し、「これを活用すればFIREが近づく」といったメッセージが打ち出されています。
名前を聞くだけで、いかにも魅力的ですよね。
「FIRE向け」
「FIREに特化」
こう言われると、「もう悩まなくていいのでは?」「これを買えば近道になるのでは?」と期待してしまう気持ちも分かります。
しかし、ここで一度立ち止まって冷静に考えてみましょう。
FIREは商品を買えば達成できるものではない

まず最初に、絶対に忘れてはいけない前提があります。
それは、FIREは特定の投資商品を買えば達成できるものではないということです。
FIREの本質は、極めてシンプルです。
・生活費をコントロールする
・収入を増やす努力を続ける
・余ったお金を長期的に運用する
・資産が生み出す収入で生活できる状態を作る
この積み重ねの結果として、ようやく到達できるのがFIREです。
つまり、FIREとは「魔法の商品」ではなく、「家計管理と投資の結果として生まれる状態」です。
にもかかわらず、「FIRE向け」と名付けられたファンドが登場すると、まるでそれが答えであるかのように錯覚してしまいます。
名前がそれっぽいからといって、リスクが消えるわけでも、成功確率が上がるわけでもありません。
なぜ今「FIRE向けファンド」が出てきたのか

では、なぜ今になってこうしたファンドが登場したのでしょうか。
理由はとてもシンプルです。
FIREを目指す人が増えたからです。
将来の年金への不安、物価上昇、働き方への疑問。こうした背景から、「自分で資産を作らなければ生き残れない」と感じる人が増えています。
人が集まるところには、お金が集まります。
お金が集まるところには、商品が生まれます。
「これまでFIREを目指す人は相手にされてこなかった」
「だから私たちが新しい選択肢を用意した」
こうした説明は、とても耳触りが良いものです。しかし投資の世界では、耳触りの良い言葉ほど注意が必要です。
テーマ型ファンドの特徴を知っておこう
今回のようなファンドは、「テーマ型ファンド」と呼ばれるものに分類されます。
特定の流行や価値観、社会的テーマに焦点を当てて作られる投資商品です。
テーマ型ファンドには、次のような特徴があります。
〇 流行している間は注目されやすい
〇 ストーリーが分かりやすく、魅力的に見える
× 値動きが非常に大きい
× 流行が終わると一気に人気がなくなる
良い時はとても良く見えますが、悪くなり始めると歯止めがきかないことも珍しくありません。そして一度評価を落とすと、二度と注目されなくなる商品も多いのが現実です。
なぜか。
ブームとはそういうものだからです。
過去を振り返れば、さまざまなテーマ型ファンドが登場してきました。話題になった直後は注目を集めましたが、時間の経過とともに静かに姿を消していったものも少なくありません。
FIREとテーマ型ファンドは相性が悪い

ここで重要なのは、FIREという目標と、テーマ型ファンドの性質が根本的に噛み合っていないという点です。
FIREを目指すうえで大切なのは、
・再現性が高いこと
・長期にわたって続けられること
・感情に振り回されにくいこと
です。
一方、テーマ型ファンドは、
・値動きが激しい
・流行や話題性に左右される
・期待と失望の振れ幅が大きい
こうした特徴があります。
これでは、何十年もかけて資産を積み上げていくFIRE戦略とは相性が良いとは言えません。
マーケティングの視点を忘れない
もう一つ、必ず意識しておいてほしいことがあります。
それは、こうした商品がマーケティングの産物である可能性が高いという点です。
「本質的に最高の投資商品だから作られた」のではなく、
「その名前なら売れそうだから作られた」。
これが売る側の基本的な発想です。
「FIREを目指す人が増えている」
「じゃあ専用商品を作ろう」
「売れれば手数料が入る」
これは特別な話ではなく、ごく自然なビジネスの考え方です。問題は、それを理解せずに「待ってました!」と飛びついてしまうことです。
投資の世界では、ブームに近づけば近づくほど、カモにされるリスクが高くなる。この事実は、しっかり覚えておきましょう。
FIRE達成のための基本戦略
FIREを目指すうえで、本当に大切なことは次の3つに集約されます。
① 支出を抑える
② 稼ぐ力を高める
③ 余裕資金を優良なインデックス型の投資商品に長期で投じ続ける
これにつきます。
高配当型の商品を選ぶのも一つの選択肢ですが、基本的には分散されたインデックス型商品で十分です。買う商品よりも、「どれだけ続けられるか」「どれだけ入金できるか」の方が、結果に与える影響ははるかに大きいのです。
まとめ
テーマ型のファンドは、基本的に不要です。
理由は次の通りです。
・コストが割高になりやすい
・「一番おいしい時期」が過ぎた後に作られることが多い
・投資家よりも売り手の都合が優先されがち
「〇〇ってどう思いますか?」という質問で名前が挙がる投資商品の多くは、ただのブーム商品です。これを自分で見抜けるようになると、投資の失敗は大きく減ります。
投資の世界に、願えば叶う魔法のランプは存在しません。
FIREも同じです。
派手な商品に期待するより、地味でも確実な行動を積み重ねること。
それが結果的に、一番の近道になります。
何に時間と意識を使うのか。
そこを間違えないように、これからも堅実に進んでいきましょう。