iDeCo上限引き上げで見えてくる、NISAと合わせた資産形成の完成形
最近、お金に関する分野で久しぶりに前向きなニュースが話題になっています。それが、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金上限が引き上げられる可能性が出てきた、という内容です。まだ正式に決定したわけではありませんが、もし実現すれば、これまで以上にiDeCoとNISAを組み合わせた資産形成が現実的になります。
「投資は難しそう」「制度が複雑でよく分からない」と感じている人にとっても、今回の動きは無視できません。なぜなら、iDeCoとNISAという二つの制度は、うまく使えば“王道”だけで資産形成を完結させることができるからです。
iDeCoとは何か――老後資金づくりのための強力な制度

iDeCoは、老後に向けて自分で年金を準備するための制度です。最大の特徴は、他の投資制度と比べても群を抜いた税制優遇にあります。
まず、毎月積み立てる掛金は、そのまま所得控除の対象になります。これにより、所得税や住民税が軽減され、現役世代のうちから確実に節税効果を得ることができます。
次に、積み立てたお金を運用して得られた利益には、原則として税金がかかりません。通常の投資では、利益が出ると一定割合の税金が差し引かれますが、iDeCoではそれがありません。
さらに、受け取るときにも各種控除が用意されており、工夫次第で税負担を抑えることができます。
「積み立てるとき」「運用するとき」「受け取るとき」――この三段階で税制優遇がある点が、iDeCoの最大の強みです。
なぜ上限があるのか、そして何が変わろうとしているのか
これほど優遇されている制度であるため、誰でも無制限に利用できるわけではありません。これまでは、働き方によって掛金の上限が細かく決められていました。
自営業者やフリーランスは比較的高い上限が設定されている一方で、会社員の場合は、企業の年金制度とiDeCoを合わせた合計額に厳しい制限があり、個人で積み立てられる金額は月2万円前後に抑えられていました。
今回検討されている見直し案では、この上限が引き上げられ、さらに一部の縛りが撤廃される可能性があります。特に会社員にとっては、「iDeCoをもっと使いたいのに使えなかった」状況が大きく改善される点が注目されています。
掛金が増えると、どれほどのメリットがあるのか

では、iDeCoの掛金上限が引き上げられると、どれくらいのメリットが生まれるのでしょうか。
例えば、月に数千円多く積み立てられるようになった場合、年間では数万円の増加になります。この増えた分はすべて所得控除の対象となるため、所得税と住民税を合わせた税率が約20%の人であれば、毎年1万円以上の節税効果が生まれます。
この節税が30年続くと、それだけで数十万円規模になります。
さらに、その掛金を長期間運用すれば、複利の力によって資産は大きく成長します。
仮に年率5%程度で運用できた場合、元本に対して数百万円規模の利益が出ることもあります。本来であれば、その利益には税金がかかりますが、iDeCoではそれが非課税です。この点だけでも、長期では非常に大きな差になります。
会社員にとっては、まさに「別次元」の変化
会社員の場合、今回の上限引き上げが実現すれば、インパクトはさらに大きくなります。これまで月2万円程度だった枠が、数倍に広がることで、非課税で運用できる金額が一気に増えるからです。
長期で積み立てと運用を続けた場合、所得控除による節税と、運用益の非課税を合わせると、数百万円規模の差が生まれても不思議ではありません。老後資金づくりの選択肢として、iDeCoの存在感はこれまで以上に高まるでしょう。
iDeCoとNISAの違いを正しく理解する

ここで重要なのが、iDeCoとNISAの違いです。どちらも非課税制度ですが、性格は大きく異なります。
NISAは、いつでも資金を引き出せる柔軟さが魅力です。一方、iDeCoは原則として一定の年齢まで引き出せません。その代わり、積み立て時の所得控除という強力なメリットがあります。
また、NISAは受け取り時に税金がかかることはありませんが、iDeCoは受け取り方によっては課税される可能性があります。この点を理解せず、「iDeCoも完全に非課税」と誤解している人は注意が必要です。
積み立てから受け取りまで、きちんと設計して初めて、iDeCoは真価を発揮します。
結論:まずNISA、その次にiDeCo
資産形成の順番としておすすめなのは、まずNISAを優先することです。NISAには大きな非課税枠が用意されており、多くの人にとっては、それを使い切るだけでも相当な時間がかかります。
そのうえで、余力があり、老後まで使わない資金がある人は、iDeCoを組み合わせる。これが最もシンプルで失敗しにくい戦略です。
まとめ:王道を続ける人が、最終的に強い
制度が充実してくるほど、重要になるのは「変なことをしない」ことです。
倹約を続け、収入を高め、家計に余ったお金をNISAやiDeCoといった優遇制度で淡々と運用する。それだけで、将来の安心は大きく変わります。
税負担が重くなりがちな時代だからこそ、使える制度は正しく使うことが大切です。iDeCoの上限引き上げは、そんな中での貴重な追い風です。
NISAとiDeCo、この二つを軸に、堅実な資産形成を続けていきましょう。