大ヒット映画「鬼滅の刃」原作者の取り分は本当に少なすぎるのか?
はじめに:275億円の裏側で起きている「勘違い」
「鬼滅の刃」の映画が、興行収入275億円という歴史的な大ヒットを記録しました。
これだけ売れたなら、原作者の吾峠呼世晴さんは、とんでもない大金持ちになったはず。多くの人がそう思ったでしょう。
ところが実際に、原作者に入るといわれている映画の原作使用料は、数百万円程度です。
仮に500万円だとしても、275億円に対しては、ほぼ誤差のような金額です。
「夢がなさすぎる」「搾取されているのでは?」
そう感じた人も多いと思います。
ですが、この話は単なる「かわいそうな原作者」の話ではありません。
むしろこれは、お金持ちになる人と、一生お金に振り回される人の差が、はっきり見える題材です。
映画業界の現実:儲かるのは「金を出した側」

映画には、主に次のプレイヤーが関わっています。
原作者、出版社、映画製作会社、配給会社、映画館。
このうち、原作者と出版社は「原作料」をもらう立場です。
映画製作会社、配給会社、映画館は「興行収入に応じて儲かる」立場です。
原作料の相場は、200万から400万円、多くても1000万円程度。
そして重要なのは、映画が大コケしようが、歴史的ヒットになろうが、この金額は基本的に変わらないということです。
一方で、興行収入からお金を得る側の取り分は、
映画製作会社が35〜45%、配給会社が5〜15%、映画館が50%前後。
つまり、ヒットすればするほど儲かるのは、リスクを取って金を出した側です。
映画ビジネスは「超ハイリスクの博打」

映画ビジネスは、徹底的なハイリスク商売です。
制作費は数億から数十億円、広告費も数億円単位。しかも、ヒットするかどうかは公開してみるまで誰にも分かりません。
現実には、ほとんどの映画がコケます。
一部の大ヒット作が、全体の赤字を埋めている世界です。
映画製作会社は、数億円を先に突っ込み、コケたら全損です。
下手をすれば、会社の存続すら危うくなる勝負をしています。
「リスクを取らない人」は大きく儲からない
ここで、はっきり言います。
リスクを取っていない人が、リスクを取った人と同じだけ儲かることはありません。
原作者はどうでしょうか。
お金は1円も出していません。
映画がコケても、金銭的な損失はゼロです。
それで数百万円をもらい、さらに原作の売上、グッズ、二次利用の収益まで伸びる。
冷静に見れば、これはかなり有利なポジションです。
多くの人は「不公平だ」と感じますが、お金の世界は感情ではなく、リスクで配分が決まります。
リスクを取らないということは、
大失敗しない代わりに、大成功の可能性も捨てるということです。
これは、投資でも、ビジネスでも、キャリアでも、すべて同じです。
黙っていると一生「安く使われる」

次に、もう一つ重要な現実を見ておきましょう。
それは、黙っていると確実に損をするということです。
「海猿」の原作者・佐藤秀峰さんは、最初は原作料200万円固定、グッズ収益もゼロでした。
しかし、出版社任せにせず、自分で交渉するようにした結果、原作料は10倍以上、グッズの権利料も入るようになりました。
あなたのお金を、あなた以上に大切にしてくれる人はいません。
何も言わなければ、都合のいい条件で使われ続けるだけです。
これは会社員でも同じです。
給料が安い、評価されない、単価が低い。
そう思っているのに、何も言わず、何も動かない。
それで状況が良くなることは、絶対にありません。
本気で儲けたいなら「先に」儲けさせろ

最後に、いちばん重要な話をします。
本気で儲けたいなら、先に相手を儲けさせることです。
鬼滅の刃は、累計1億2000万部。
印税だけで、すでに50億円以上と言われています。
原作を起点に、アニメ、映画、グッズへと広がっていく。
これは、ゼロからイチを作ったものを、みんなで何十倍にも拡張していく構造です。
このときに、自分が一番儲からないと気に入らない、他人が儲かるのは許せない、こんな考えを持った瞬間に、スケールは止まります。
ビジネスは、自分一人の力では大きくなりません。
関係者を先に儲けさせるからこそ、次も、その次も、全力で動いてくれるのです。
ただし、重要な注意点があります。
先に儲けさせるのであって、永遠に搾取され続けろという意味ではありません。
タイミングを見て、きちんと自分の取り分を取りに行く。ここを間違えると、ただの都合のいい人で終わります。
まとめ:リスクから目を背けるな
誰がどれだけ儲けるべきかを考えるときは、
誰が、どれだけのリスクを背負っているのか。
ここを見るべきです。
もしあなたが、
会社ばかり儲かって、自分は全然豊かにならない
ノーリスクの場所にしがみついたまま、将来が不安
こう感じているなら、一度ちゃんと考えた方がいい。
自分は、どんなリスクを引き受けているのか?
リスクを取らずに、リターンだけ欲しい。
そんな都合のいい話は、この世界には存在しません。