家計に大ダメージ!知らないと損する「社会保険3つの悲劇」

皆さんは、生涯でいくらの「社会保険料」を支払っているかを考えたことはありますか。毎月の給与明細には当たり前のように健康保険料や厚生年金保険料が記載されていますが、その総額を意識している人は決して多くありません。
一般的な会社員が一生涯にわたって支払う社会保険料は、概算で約3,600万円にもなると言われています。1年あたりにすると約72万円、月に直せば約6万円です。住宅ローン並み、あるいはそれ以上のインパクトがある支出でありながら、多くの人は「仕方がないもの」「よく分からないもの」として深く考えずに支払っています。
しかし、この「よく分からない」という姿勢こそが、家計に深刻なダメージを与える原因になります。社会保険の中身を理解していないがゆえに、多くの人が次の3つの悲劇に直面しているのです。
- 民間保険に入りすぎてしまう
- 必要以上に社会保険料を取られてしまう
- 本来受け取れるお金を受け取り損ねてしまう
これらはすべて、「知らないこと」が引き金となっています。順番に詳しく見ていきましょう。
3つの悲劇について
悲劇① 民間保険に入りすぎてしまう
3つの悲劇の中でも、特に家計へのインパクトが大きいのが「民間保険に入りすぎる」ことです。
多くの人は、将来に対する漠然とした不安から保険に加入します。「自分に何かあったら家族は大丈夫だろうか」「病気やケガで働けなくなったらどうしよう」と考えるのは、ごく自然なことです。しかし、ここで問題になるのが社会保険の保障内容を知らないまま、民間保険を上乗せしてしまうことです。
たとえば、遺族年金の仕組みを知らないために、必要以上に高額な死亡保険に加入してしまうケースがあります。また、高額療養費制度を理解していないがゆえに、医療保険を手厚くしすぎてしまう人も少なくありません。さらに、傷病手当金や障害年金といった制度を知らないことで、就業不能保険を過剰に契約してしまうこともあります。
本来、民間保険は「社会保険で足りない部分を補うため」の存在です。まずは社会保険でどこまでカバーされているのかを確認し、そのうえで不足分だけを民間保険で補う、という順序が重要になります。
ところが社会保険の中身を知らないと、この判断ができません。その結果、「何となく不安だから」「勧められたから」といった理由で、高額な保険に加入してしまいます。そして毎月の保険料が家計を圧迫し、貯蓄や投資に回す余裕がなくなってしまうのです。
このように、保険に入りすぎた結果として資産形成が進まなくなる人は、決して珍しくありません。
悲劇② ルールを知らず、保険料を取られすぎる
2つ目の悲劇は、「本来払わなくていい、あるいは抑えられたはずの社会保険料を多く払ってしまう」ことです。これは、制度の決まりを知らないことが原因で起こります。
代表的な例の一つが、4月・5月・6月の働き方です。会社員の社会保険料は、原則としてこの3か月の給与平均をもとに決定されます。この期間に残業が多く、給与が一時的に高くなると、その後1年間の社会保険料が高額に設定されてしまいます。ルールを知らなければ、「頑張って働いた結果、手取りが減る」という皮肉な状況に陥ります。
また、健康保険の扶養制度を理解していないことで、意図せず家族が扶養から外れてしまうケースもあります。少し収入が増えただけで、扶養から外れ、結果として世帯全体の負担が増えてしまうこともあるのです。
さらに、退職後の健康保険についても注意が必要です。任意継続制度を知らずに国民健康保険へ切り替えた結果、前年の所得をもとに高額な保険料を請求されて驚く人も少なくありません。
社会保険制度は「複雑」「細かい」「頻繁に変わる」という特徴があります。すべてを完璧に理解することは現実的ではありません。しかし、最低限のルールを知らなければ、必要以上にお金を支払い続けることになります。知らないままでいるということは、静かに家計を削られ続けることと同じなのです。
悲劇③ 本来もらえるお金を受け取り損ねる
3つ目の悲劇は、社会保険制度の中でも特に見落とされがちなポイントです。それが、「本来受け取れるはずのお金を、知らないためにもらい損ねてしまう」という問題です。
社会保険には、教育訓練給付金、傷病手当金、失業手当など、さまざまな給付制度があります。しかし、これらの多くは自己申告制です。つまり、自分から申請しなければ1円も受け取ることはできません。
社会保険は、「お金を取るときは自動」「お金を配るときは申請が必要」という仕組みになっています。待っていても、役所や会社が親切に教えてくれることはほとんどありません。さらに、給付金には申請期限が設けられているものも多く、後から制度を知っても手遅れになる場合があります。
「知らなかった」「忙しくて後回しにしていた」「気づいたときには期限が過ぎていた」。どんな理由があっても、一度期限を過ぎてしまえば、お金は戻ってきません。無知は、家計に空いた穴のようなものです。穴を塞がない限り、いくら頑張ってもお金は貯まりません。
まとめ

社会保険料は、今や人生における最大級の支出の一つです。そして今後も、その負担は増えていくと考えられています。一方で、制度の中身についての情報提供は決して十分とは言えません。だからこそ、私たちは自分で学ぶ必要があります。
もし皆さんが3,600万円をかけてマイホームを購入するとしたら、間取りや設備、仕様を何も知らずに契約するでしょうか。おそらく、そんな人はいないはずです。ところが、同じ3,600万円規模の支出である社会保険料については、「よく分からないまま払っている」という状況が当たり前になっています。
これほど大きなお金を支払っているにもかかわらず、その中身を知らず、結果として損をし、資産形成が進まないのは非常にもったいないことです。社会保険について学ぶということは、3,600万円の商品について詳しくなるということです。その見返りは、確実に家計に返ってきます。
ぜひこの機会に、社会保険の仕組みを知り、自分と家族のお金を守る力を身につけていきましょう。