再び人気の「毎月分配型投信」、意外と知らない重大なリスクを紹介

毎月分配型投資に再び資金が集まるという現実

――その仕組みと注意点を改めて整理する――

近年、投資に関する情報が広く行き渡るようになり、多くの人が資産運用に関心を持つようになりました。しかしその一方で、過去に問題視されてきた投資商品へ、再び多額の資金が流れ込んでいるというニュースが報じられています。その代表例が「毎月分配型投資信託」です。

ある期間の統計によると、半年間で数千億円規模の資金が毎月分配型投資信託に流入したとされています。年金の受給が限られた頻度で行われる中、「毎月安定して現金収入が得られる」というイメージが、多くの投資家の心をつかんでいることが背景にあるようです。しかし、この商品には構造上の問題点が多く、注意を怠ると資産形成どころか、資産を目減りさせてしまう恐れがあります。

本記事では、毎月分配型投資信託の仕組みと問題点について、改めて丁寧に整理していきます。

毎月分配型投資信託とはどのような商品か

毎月分配型投資信託とはどのような商品か

毎月分配型投資信託とは、その名の通り「毎月決算を行い、分配金を支払うことを前提とした投資信託」です。一般的な投資信託は、年に数回または分配を行わないタイプも多いのに対し、毎月分配型は「毎月お金がもらえる」点が強調されがちです。

ここで重要なのは、分配金の原資がどこから来ているのかという点です。投資信託の純資産には、次のようなものが含まれています。

  • 投資家から集めた資金
  • その資金で購入した株式や債券
  • 運用による値上がり益
  • 利息や配当などの収益

分配金は、これら純資産の一部を取り崩して支払われます。つまり、「利益が出たから分配金が出る」とは限らず、場合によっては元本そのものが払い戻されているケースもあるのです。

分配金の仕組みが誤解されやすい理由

分配金の仕組みが誤解されやすい理由

毎月分配型投資信託の最大の問題点は、この仕組みが十分に理解されないまま販売・購入されている点にあります。

本来、投資商品を説明する際には、次のような事実を明確に伝える必要があります。

  • 分配金を支払うと、その分だけ基準価格は下がる
  • 例えば基準価格が100のときに5の分配金が支払われると、基準価格は95になる
  • 分配金には、運用益だけでなく元本の払い戻しが含まれる場合がある

しかし、こうした説明が不十分なまま、「毎月5%の利回り」などと誤解されやすい表現だけが先行してしまうことがあります。

実際には、100の投資信託を保有していて5の分配金を受け取った場合、手元には「95の評価額の投資信託」と「5の現金」が残るだけです。資産全体としては何も増えていません。それにもかかわらず、多くの人が「利益を得た」と錯覚してしまうのです。

ある調査では、「分配金が支払われると基準価格が下がる」「元本の払い戻しが含まれることがある」という事実を正しく認識している人は、全体の3分の1程度にとどまるとされています。裏を返せば、3人に2人は誤解したまま投資を続けている可能性があるということです。

もう一つの大きな欠点――高すぎるコスト

毎月分配型投資信託の問題は、仕組みの分かりにくさだけではありません。もう一つの大きな欠点が「コストの高さ」です。

人気のある毎月分配型投資信託を見てみると、年間で1.5~2%前後の運用管理費用がかかるものが少なくありません。これは、保有しているだけで毎年自動的に差し引かれるコストです。

一見すると小さな数字に見えるかもしれませんが、長期的に見るとこの差は非常に大きくなります。仮に同じ運用成績だったとしても、コストが高い分だけ投資家の手元に残る利益は確実に減ってしまいます。

さらに、金融機関の窓口で購入した場合、購入時手数料が別途かかるケースも多く、実質的な負担はさらに重くなります。

皮肉なことに、「毎月お金がもらえる」と思っていた投資家自身が、実際には高い手数料を通じて運用側の収益源になっているという構図が生まれてしまっているのです。

成績を冷静に見れば答えは明らか

成績を冷静に見れば答えは明らか

では、高いコストに見合うだけの運用成績が出ているのでしょうか。分配金と値上がり益を合算したトータルリターンを見てみると、広く使われている株式指数に連動する投資と比べ、成績が見劣りするケースが多いのが実情です。

しかも、これは数ある毎月分配型投資信託の中でも、比較的人気が高いものを対象にした場合の話です。人気上位でさえこの水準であれば、その他の商品の成績については推して知るべしと言えるでしょう。

まとめ:毎月分配型投資信託が不要とされる理由

毎月分配型投資信託が抱える問題点を整理すると、次の点に集約されます。

  • 商品の仕組みが十分に説明されていない
  • 分配金が利益ではなく元本の払い戻しである場合がある
  • コストが非常に高く、長期的な資産形成に不利
  • 成績が市場全体の動きに劣るケースが多い

中には例外的に良い商品が存在する可能性も否定はできません。しかし、数多くの選択肢がある中で、あえてリスクの高い商品を選ぶ必要はないでしょう。

毎月分配型投資信託を保有している人の中には、「自分のお金を少しずつ引き出しているだけ」という状態に気づかないまま、高い手数料を支払い続けているケースも少なくありません。

再び資金が集まりつつある今だからこそ、冷静に仕組みを理解し、安易なイメージに流されない姿勢が求められます。もし身近な人が誤解したまま投資をしているようであれば、正しい情報を共有し、助言することも大切な行動と言えるでしょう。

自分自身のお金を守るためにも、そして大切な人を守るためにも、投資商品は「分かりやすさ」と「合理性」を基準に選びたいものです。