若者が海外へ向かう理由とは

― 高収入を求めて広がるワーキングホリデーという選択 ―

近年、若い世代の間で「海外で働く」という選択を取る人が急増している。中でも注目を集めているのが、働きながら滞在できるワーキングホリデー制度だ。かつては語学留学や異文化体験を主目的とする人が多かったが、最近では明確に「稼ぐ」ことを目的として海外へ渡る若者が増えているという。
実際、海外の地方都市にある工場や一次産業の現場では、日本で働いていた頃の数倍の収入を得ている若者も珍しくない。早朝から長時間働く厳しい環境ではあるものの、その対価として得られる収入は非常に高く、日本で同年代が得る手取り額を大きく上回るケースも多い。こうした実例が口コミやSNSを通じて広がり、「海外に出たほうが早くお金が貯まる」という認識が若者の間で現実味を帯びてきている。
そもそもワーキングホリデーとは、一定の年齢制限のもと、海外に比較的自由な形で滞在し、現地で就労することが認められている特別な制度である。本来の目的は異文化交流や相互理解の促進だが、フルタイムで働くことが可能な国・地域も多く、制度の自由度は高い。滞在期間はおおむね1年前後で、国によっては延長できる場合もある。働きながら生活費をまかない、場合によっては貯蓄までできる点が、大きな魅力となっている。
この制度のメリットは多い。第一に、長期間にわたって海外で生活する経験が得られること。第二に、現地で実際に働くことで実践的な語学力が身につくこと。そして第三に、日本より高い賃金水準の環境で働くことで、短期間でもまとまった貯金が可能になる点だ。これらを同時に実現できる制度は、決して多くない。
では、なぜ今これほどまでに海外へ向かう若者が増えているのだろうか。その背景には、日本国内の経済状況が大きく影響している。名目上の賃金はわずかに上昇しているものの、それ以上に物価の上昇が続き、実質的な生活水準は下がり続けている。日々の生活費は確実に増えているのに、給料の伸びはそれに追いつかない。この状態が長期化する中で、「国内で頑張っても将来が見えにくい」と感じる若者が増えているのは、自然な流れとも言えるだろう。
一方、海外では人手不足を背景に、体力仕事や単純労働であっても高い賃金が支払われることが多い。現地通貨で給料を受け取るため、為替の影響も大きく、円安の局面では日本円に換算した際の金額がさらに膨らむ。毎月一定額を貯金しながら生活している若者も多く、短期間で数百万円単位の資金を築く例も珍しくなくなってきた。
こうした動きを見て感じることは、大きく二つある。一つ目は、「波に乗れる人の強さ」だ。社会全体が賃金低迷や物価高に不安を抱く中でも、環境を変え、自ら行動を起こした人は結果を出している。わずか1年から数年で、貯金と語学力、そして海外経験を同時に手に入れることができるのであれば、時間あたりの投資効率は非常に高い。これは副業やキャリア形成においても共通する考え方であり、変化の兆しを察知し、早く動いた人ほど恩恵を受けやすいという現実を示している。
二つ目は、「外貨を稼ぐことの重要性」だ。円安傾向が続く中で、日本円だけに依存した収入や資産形成にはリスクが伴う時代になっている。海外で働いて現地通貨を得ることも、海外の金融資産を通じて外貨収入を得ることも、本質的には同じだ。為替の影響を味方につけることができれば、長期的な資産形成において大きな差が生まれる。すでにこの流れに乗って準備を進めていた人ほど、現在の環境を有利に活用できている。
もちろん、誰もが海外に行けるわけではないし、行きたいと思わない人もいるだろう。しかし重要なのは、「自分には関係ない」と切り捨ててしまわないことだ。海外に出るという選択が難しくても、収入源を分散させたり、外貨と関わる仕組みを取り入れたりするなど、できることは他にもある。
今回のワーキングホリデーをめぐる動きは、単なる若者の流行ではない。賃金が伸び悩み、通貨の価値が揺らぎ、将来への不安が広がる中で、人々がより良い環境を求めて行動し始めている象徴的な現象だと言える。時代は常に変化している。その変化を嘆くだけで終わるのか、それとも流れを読み取り、自分なりの方法で波に乗るのか。その選択が、これからの人生を大きく左右していくのだろう。