高配当株に投資するなら知っておきたい「GDP」と「EPS」の相関関係

GDPと企業利益の関係から考える日本株投資

2024年1月10日、三井住友DSアセットマネジメントより
「実は恐ろしい『日経平均7万円シナリオ』」
というマーケットレポートが公表されました。

本レポートは、その刺激的なタイトルから「日本株は今後も大きく上昇するのではないか」といった期待を抱かせる内容ですが、重要なのは数字そのものではなく、そこに示されている考え方です。本記事では、レポートの概要を整理しつつ、投資判断に役立つ本質的なポイントを解説いたします。

日経平均7万円に至る3つのシナリオ

日経平均7万円に至る3つのシナリオ

レポートでは、日本経済の成長を前提として、日経平均株価が7万円に到達する可能性を、以下の3つのシナリオで示しています。

シナリオA
日本の名目GDPが年率約2.25%で成長した場合、約9年後に日経平均株価が7万円に達する可能性があるとしています。

シナリオB
シナリオAに加え、東京証券取引所の要請を受けて企業が資本効率や収益性の向上に積極的に取り組んだ場合、約6年後に7万円に到達する可能性があるとされています。

シナリオC
極端なケースとして、日本でハイパーインフレが発生した場合には、最短2年で日経平均が7万円に到達する可能性が示されています。

いずれのシナリオでも日経平均が大きく上昇するという点は共通していますが、重要なのは「必ずそうなる」という予測ではありません。このレポートの価値は、株価と経済指標の関係性を考える材料を提供している点にあります。

注目すべき本質的なポイント

本レポートを通じて、特に押さえておきたいポイントは次の一つです。

GDP(国内総生産)とEPS(1株あたり利益)には強い相関関係がある

この点は、投資判断を行ううえで非常に重要な視点となります。ここからは、GDPとEPSについて、できるだけ分かりやすく整理していきます。

GDPとは何か

GDPとは「国内総生産」のことで、一定期間内に国内で生み出された付加価値の合計を示す指標です。簡単に言えば、国全体がどれだけ稼いだかを表す数字です。

モノやサービスが多く売れ、企業活動が活発であれば、GDPは増加します。そのため、GDPは国の経済力を測る最も代表的な指標の一つとして、ニュースなどでも頻繁に取り上げられています。

世界のGDPランキングを見ると、長年アメリカが首位を維持し、中国がそれに続いてきました。日本はかつて世界第2位でしたが、近年は他国の成長に押され、順位を下げている状況です。GDPの成長率や世界における位置づけは、日本経済の現状を把握するうえで欠かせない情報と言えるでしょう。

EPSとは何か

EPSとは「1株あたり純利益」を意味する指標です。企業が生み出した利益を、発行している株式数で割ったものと考えると分かりやすいでしょう。

例えば、ある企業が1年間で1000円の純利益を上げ、発行株式数が100株であれば、EPSは10円となります。
このEPSは、株式投資において非常に重視される指標です。

なぜなら、EPSが継続的に成長する企業ほど、長期的に株主価値を高めやすいからです。実際、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏も、企業の利益成長を重視する姿勢を示しています。

GDPとEPSの関係性

GDPとEPSの関係性

ここで重要になるのが、GDPとEPSの関係です。
日本全体のGDPと、日本の上場企業全体のEPSの推移を比較すると、両者は非常に似た動きを示しています。

GDPが落ち込む局面では、企業全体の利益も伸び悩み、EPSは低下しやすくなります。一方、GDPが成長局面に入ると、企業の利益も増え、EPSも上昇する傾向が見られます。

統計的に見ても、GDPとEPSの決定係数は0.8以上とされており、一般的に「強い相関がある」と評価される水準を上回っています。これは、単なる印象論ではなく、データに裏付けられた関係性であると言えるでしょう。

投資家がGDPに注目すべき理由

投資家がGDPに注目すべき理由

この関係性を踏まえると、GDPに関するニュースは、株式投資と無関係ではないことが分かります。
GDPの総額、成長率、前期比の増減、世界の中での位置づけ、将来予測などを把握することは、日本企業全体の「稼ぐ力」を大まかにつかむことにつながります。

こうしたマクロの視点を持つことで、個別企業や高配当株を評価する際にも、割高か割安かを判断する一助となります。
投資においては、マクロ(経済全体)とミクロ(個別企業)の視点を行き来することが重要です。

長期投資の原則を忘れないために

最終的に意識しておきたいのは、資産運用の基本原則です。
それは、価値が長期的に高まると考えられるものを、継続して保有することです。

経済が成長する国や業界、利益を伸ばし続ける企業に投資することは、長期的な資産形成において合理的な選択と言えるでしょう。日経平均株価が将来7万円に到達するかどうかは分かりませんが、日本経済と企業利益の関係を理解しておくことは、投資判断の質を高めるうえで確実に役立ちます。

短期的な数字や刺激的な見出しに振り回されるのではなく、経済と企業の成長という本質に目を向けながら、冷静な投資判断を心がけていきたいものです。