老後の資金計画における「ダメな考え方」と「貯蓄率の答え」を解説

老後の資金計画における「ダメな考え方」と「貯蓄率の答え」を解説

お金のニュース:【答えあり】老後に向けた貯蓄率はどれくらい必要?

「老後のために、どの程度の割合で貯蓄したら安心なのか?」
そんな疑問に答えるニュースです。最近の米国株は絶好調で、S&P500、NYダウ、ナスダックといった主要指数が連日のように最高値を更新しています。しかし、この状況が永遠に続くと考えるのは危険です。

投資を始めたばかりの人の中には、「株さえ持っていれば勝手に資産が増える」「今の勢いなら貯金を減らしても老後は大丈夫」と感じている人もいますが、こうした思い込みは老後の生活を圧迫する原因になります。
その理由を3つのポイントで解説します。

理由①:現在のリターンは特別に良すぎる

まず1つ目の理由は、「いま得られている株式リターンが異常値に近い」という点です。
S&P500の過去10年間の平均リターンは年15%。
しかし、もっと長い期間で見た平均値は年10.3%ほどで、今の数字は明らかに高すぎます。

ここ数年の成績を前提に老後の資金計画を立てると、期待し過ぎてしまい危険です。
「できすぎの結果である」という冷静な視点が必要です。

理由②:インフレをきちんと計算に入れているか?

理由②:インフレをきちんと計算に入れているか?

2つ目の理由はインフレの存在です。
仮に株式が年10%増えたとしても、物価が年7%上昇すれば実質の価値は3%しか増えていません。
米の価格が1年で2倍になるなど、日本でも物価上昇の影響は強まっています。

「株高で資産が増えたように見えるけど、実際の購買力はそれほど増えていない」
ということが起こり得ます。

インフレ調整後の米国株リターンを30年単位でみると、

  • 1932年までの30年間…0.9%
  • 1982年までの30年間…4.7%
  • 2023年までの30年間…6.9%

もし運悪く低い時期に重なると、どれだけ株式投資を続けても十分な老後資金にならない可能性があります。

理由③:老後も支出が意外と減らない

3つ目の理由は、「退職後の支出は大きくは減らない」ことです。
一般には、現役時代より20〜30%ほど支出が減ると言われますが、近年の研究では退職後の支出は現役時代の93〜97%にとどまるという結果も出ています。

つまり「生活水準を下げたくないから支出が減らない」のではなく、
「十分な貯蓄がないので、仕方なく抑えているだけ」というケースも多いのです。

ここまでの結論

まとめると、

  • 現在の高い株式リターンが続くと期待する
  • 老後は支出が大幅に減ると決めつける
  • インフレを軽視する

これらを前提に老後の資金計画を立てると失敗しやすくなります。
投資リターンが下がる、インフレが高くなる、支出が減らない――。
これらが同時に起きると、老後資金はすぐに不足します。

では、老後に備えて何をすべきか?

では、老後に備えて何をすべきか?

例えば、今後30年働き、その後の30年を現役時代と同じ水準で暮らすとします。
インフレ調整後の平均リターンを年5%と見込む場合、必要な貯蓄率は約12%です。
この水準をクリアできれば、60年間を通じて安定した生活を維持できることになります。

もちろん、もっと高い貯蓄率の人もいます。
例えば貯蓄率20%を確保できれば、実質リターンは年3%でも成立します。
この数字は現実的なものです。

なお、ここで示したモデルは米国のデータに基づいていますが、あくまで「目安」です。
日本の場合は、所得の40〜50%をカバーする公的年金がありますが、受給額は人によって大きく異なります。

貯蓄率の計算方法

貯蓄率の計算方法

例として、手取り30万円で支出が24万円なら、6万円が貯蓄または投資に回せます。
この場合、貯蓄率は20%です。

なお、投資額は「支出」ではなく「貯蓄」に含まれます。
たとえば、つみたてNISAに3万円、預金に3万円なら、合わせて6万円が貯蓄です。
投資額を支出に分類するのは誤りなので注意しましょう。

最後に:老後の計画でやってはいけない3つ

老後資金を考えるうえで避けるべきことは次の3つです。

  1. 今の高い株式リターンが続くと決めつける
  2. インフレを無視して計算する
  3. 老後は大幅に支出が減るという前提に頼る

老後の生活水準を維持したいなら、

  • 投資の比率を増やしてリスクを取る
  • 貯蓄をしっかり増やす
  • 働く期間を延ばす

この3つのどれか、もしくは組み合わせるしかありません。

人生は一度きりです。
自分に合った現実的なプランを考えて、後悔のない選択をしてください。