新制度が始まり、非課税で投資できる枠が大幅に拡大されました。生涯で利用できる投資枠は大きく伸び、そのうち長期的な資産形成を目的とした枠も広がっています。非課税期間は無期限となり、売却すると枠が復活するなど、これまでに比べて使い勝手が大幅に良くなったことが特徴です。
制度が大きく変わると、多くの人が「何を買うべきか」「どの商品は買わないべきか」と迷うことになります。特に、制度拡大にあわせて金融機関の営業活動が活発になり、さまざまな商品がすすめられる可能性があります。その中でも注意したいのが、いわゆるアクティブファンドです。
結論から述べると、長期の資産形成を目的とするなら、多くのアクティブファンドは選ぶべきではありません。その理由は大きく3つあります。それぞれを丁寧に解説していきます。
1つ目の理由:アクティブファンドの多くは指数に勝てない

投資信託には大きく分けて2種類あります。
1つは、市場全体の動きに連動する成績を目指す「市場連動型ファンド」。
もう1つは、市場の成績を上回ることを目標とする「積極運用型ファンド」です。
名前だけ聞くと、積極的に投資を行う後者のほうが、大きな利益を狙えそうに感じるかもしれません。市場が10%上昇したときに「自分たちは15%目指します」と宣言するようなイメージです。
しかし現実は理想ほど簡単ではありません。積極運用型ファンドは専門家が個別の銘柄を調査したり、多数の売買を繰り返したりするため、人件費や取引コストが市場連動型ファンドよりも高くなります。その結果、運用成績がコストに押し下げられ、長期で見れば7〜9割のファンドが市場平均に負けてしまうとされています。
短期間でたまたま市場平均を上回ることはありますが、長期で勝ち続けるファンドはごく少数です。専門家がチームを組んで運用しても、市場全体の成績に勝ち続けることがいかに難しいかを示すものです。
制度を活用して長期的に資産形成を行う場合、勝率が低い商品をあえて選ぶ必要はありません。
2つ目の理由:投資家より運用会社の利益を優先する商品が多い

アクティブファンドの中には、投資家の利益よりも運用側の利益を優先していると感じられる商品が少なくありません。
もちろん、中には優れたアクティブファンドも存在します。良質なファンドには、
- 明確で実践的な運用方針がある
- 組織体制が整っている
- 高度な専門知識をもつ人材が集まる
- 投資家に誠実で透明性の高い運営を行う
といった特徴があり、そのようなファンドは一定の成果を残している場合もあります。
しかし問題は、こうした優れたファンドの割合が非常に少ないことです。
その背景のひとつが「中身はほぼ市場連動型なのに、アクティブファンドとして高い手数料を取る商品」が多いことです。市場平均と似たような構成で運用すれば、指数から大きく離れないため、顧客からのクレームも起こりにくい。にもかかわらず、積極運用型として高い手数料を設定できるため、運用側にとっては大きな利益につながります。
また、話題性だけで作られるテーマ型ファンドも問題です。ある分野が注目されると、その名前を付けただけの商品が多数作られますが、これらの多くは長期の資産形成には向きません。運用側の利益のために組成され、投資家の利益は後回しになりがちだからです。
このような構造が、アクティブファンド全体の成績不振を生み出しているともいえます。
3つ目の理由:長期的に見てコストに見合わない
アクティブファンドが市場平均に勝てない最大の理由は、やはりコストの高さです。
たとえば、
- 市場連動型ファンド:年0.1%の運用コスト
- アクティブファンド:年1.5%の運用コスト
とすると、10倍以上の差があります。
もちろん、コストが高くてもそれを上回る成果を出すなら、投資する価値があります。実際、ある年ではアクティブファンドの成績が良いこともあります。
しかし問題は、その良い成績が長く続かないという点にあります。
長期で見れば、
- 多くのアクティブファンドは追加的な利益を生み出さない
- にもかかわらず高い手数料を払い続けなければならない
という状況に陥ります。
もし大きな利益が出た年でも、その中から高い手数料が差し引かれます。逆に成績が悪い年でも手数料は同じです。投資家はリスクを負っているのに、運用側は安定して高い手数料を得られる。これは構造的に非常に不利な仕組みです。
この「不利な構造」に納得できないのであれば、避けるべき商品であると言えます。
構造的に不利な商品には近づかないこと

制度の拡大によって投資の機会が広がりましたが、選ぶべき商品と避けるべき商品が存在します。アクティブファンドは、
- 市場平均に勝てない
- 投資家より運用側を優先する商品が多い
- コストに見合わない
という理由から、長期投資には向かないケースが大半です。
特に制度上の非課税枠は貴重です。長期で資産を育てるための枠である以上、勝率が低く、構造的に不利な商品に使うべきではありません。
制度を上手に活用するためには、まず「買ってはいけないものを買わない」ことが最も重要です。仕組みを理解し、冷静に商品を選び、長く続けられる資産形成を目指していきましょう。