税金を知ることから始めよう
「NISAとiDeCo、結局どちらがいいの?」
投資を始めようとしたとき、多くの方がここで立ち止まります。制度の名前はよく聞くけれど、税金の話になると途端にむずかしく感じてしまう。疑問を抱くのは、とても自然なことです。
税金は、とにかく複雑です。
そして複雑だからこそ、「考えるのが嫌だな」「よくわからないから後回しにしよう」と感じてしまう方も少なくありません。しかし、お金と上手につき合っていくためには、税金の仕組みを避けて通ることはできないのも事実です。完璧に理解する必要はありません。ただ、大切なポイントだけでも整理しておくことが、将来の資産形成に確実に役立ちます。
今回は、NISAとiDeCoの税金の違いに絞って、できるだけわかりやすく、コンパクトにお伝えします。
NISAとiDeCo、税金は「3つの場面」で考える
まずは全体像から見てみましょう。
NISAとiDeCoの税金の違いは、次の3つの場面で整理できます。
- お金を積み立てるとき
- 運用している間
- お金を受け取るとき
この3ステップで考えると、頭の中がぐっと整理されます。
① お金を積み立てるときの違い
たとえば、毎月5万円を積み立てるとしましょう。
NISAでは、この時点で税金に関して特別なことは起こりません。
積み立てても税金が減るわけではなく、節税効果はありません。
一方、iDeCoは違います。
iDeCoで積み立てた5万円分は、あなたの「所得」が減ったものとして扱われます。つまり、その分だけ税金が軽くなります。これがiDeCo最大の特徴であり、強みです。
イメージとしては、
・NISAの積み立ては「経費にならない支出」
・iDeCoの積み立ては「経費になる支出」
経費が増えれば利益は減り、利益が減れば税金も減ります。
ですから、iDeCoは積み立て額を増やせば増やすほど、節税効果も大きくなるのです。
② 運用している間は、実は同じ
積み立てたお金で株や債券を買い、運用している間の税金はどうでしょうか。
たとえば、50万円分の投資をして、
・1万円の配当金が出た
・10万円値上がりしたので売却し、別の商品に乗り換えた
この場合、通常なら配当金や売却益に税金がかかります。
しかし、NISAもiDeCoも、運用中は非課税です。
配当金も値上がり益も、すべてそのまま手元に残ります。
運用中の税金については、両者に差はありません。
この点は、安心して覚えていただいて大丈夫です。
③ お金を受け取るときの違い

最後に、いちばんわかりにくい「出口」のお話です。
仮に、300万円を積み立て、運用の結果、口座内の資産が1000万円になったとしましょう。これをすべて売却し、銀行口座に移す場合を考えます。
NISAの場合、税金はかかりません。
1000万円は、そのままあなたのものになります。
iDeCoの場合、ここで課税が発生します。
この点だけを見ると、「せっかく優遇されてきたのに、最後に税金を取られるの?」と不安になるかもしれません。
ですが、どうか忘れないでください。
iDeCoは、積み立てるときにすでに大きな節税効果を受けています。そして、受け取り時には控除という仕組みがあります。
年金として受け取れば「公的年金等控除」、
一時金として受け取れば「退職所得控除」。
これらを上手に使えば、税負担は大きく抑えられます。
iDeCoは「悪い制度」ではありません。ただ、出口の設計が少し難しいだけなのです。
では、どちらを選べばいいのでしょうか
「NISAとiDeCo、どちらか一つ選ぶなら?」
そう聞かれたら、私はNISAとお答えします。
理由はシンプルです。
・非課税枠が大きい
・いつでも自由に引き出せる
・途中で使ってもペナルティがない
・受け取り方で悩まなくてよい
投資を始めたばかりの方にとって、使いやすさは何より大切です。
iDeCoは、所得が高い人ほど節税効果が大きくなります。
一方で、所得がそれほど高くない方の場合、メリットを感じにくいこともあります。制度を理解し、使いこなすには少し慣れが必要です。
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投資は、特別な人のものではありません。
少しずつ学び、少しずつ慣れていけばいいのです。
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その一歩を、どうか大切にしてください。