お金の講義:守る力の重要性 ― 失えば全てが無意味になるという現実

私たちがお金について語るとき、多くの人は「どう稼ぐか」「どう増やすか」に意識を向けがちです。しかし、お金にまつわる力は本来次の五つで構成されています。
- 貯める力
- 増やす力
- 使う力
- 守る力
- 稼ぐ力
この五つの中で、もっとも軽視されがちなのが「守る力」です。
多くの人がこう考えてしまいます。
「私はお金持ちじゃないから守るも何も関係ない」
「まだ貯める段階だから、守る力は後でいい」
「詐欺なんて自分は引っかからないから大丈夫」
ところが、これらはいずれも大きな誤解です。むしろ、経済的に余裕のない段階ほど、持っている少ない資産を「失わないこと」が極めて重要になります。
ある言葉に、この真理がよく表れています。
「結局なくしてしまうのなら、いくらお金を儲けたって意味がない」
どれだけ稼ぐ力を鍛えても、どれだけ貯めても、どれだけ増やす努力をしても、最後にそれを守れなければ何の意味もなくなってしまいます。お金の世界では「守り切ってこそ価値がある」という大前提を忘れてはならないのです。
■ 日々試される「守る力」
資産を守る力は、日常的に試されています。
たとえば、最近話題になった証券口座の乗っ取り事件は、その典型例です。
● ネット証券と対面証券の補償対応の違い
2025年7月、SBI証券・楽天証券・松井証券などのネット証券各社は、不正アクセスによる乗っ取り被害の補償方針を発表しました。
- ネット証券:被害額の原則2分の1を補償
- 対面大手証券:原状回復(全額補償に近い対応)
このニュースを受け、「ネット証券は危険だから対面型に変えよう」という声も聞かれました。
しかし、これは単純な問題ではありません。
確かにネット証券は補償が半額ですが、対面型の証券会社には高額な手数料や不要な金融商品の営業といった別のリスクがあります。
つまり、
- ネット証券:乗っ取りの補償リスク
- 対面証券:高コスト・不要な商品を買わされるリスク
というように、「守る力」は利用する金融機関によって別の形で試されるわけです。
どちらが絶対安全という話ではなく、**どのリスクをどこまで許容し、どう対策するかを判断する力そのものが“守る力”**だと言えます。
■ 若者を狙う詐欺が急増中

近年、特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺)の被害構造が変わっています。
以前は被害者の多くが高齢者でしたが、現在は20代・30代の被害が急増しています。
警察官を名乗ったり、公的機関を装ったり、巧妙な手口が次々と生まれ、若年層の多くが「まさか自分がだまされるとは思わなかった」と語っています。
詐欺の手法は“攻める側”が日々アップデートしてきます。
つまり、守る側である私たちもアップデートし続けなければ、すぐに追い越されてしまうのです。
守る力を怠るとどうなるか──
冒頭で紹介した言葉が、再び重く響きます。
「結局なくしてしまうのなら、いくらお金を儲けたって意味がない。」
築いてきた資産が一瞬で消えてしまえば、これまでの努力は無駄になります。
むしろ、いっそ自分で使ってしまった方がマシだった…という最悪の状態にすらなりかねません。
■ 実際にあった“大損”の例
華々しい成功を収めた起業家が、よく分からない事業や怪しい投資話に大金を出し、短期間で資産を失ってしまうことは珍しくありません。
身近な例でも、「知人の紹介だから安心だと思った」「うまい話に聞こえた」といった理由で大金を投じ、後から詐欺と発覚したケースも多くあります。
筆者の周囲でも、数億円単位の損失を出してしまった人がいます。
もちろん学びとしての“痛み”はあるかもしれませんが、世の中には払わなくていい勉強代がたくさんあります。
守る力を少し鍛えておくだけで防げる損失は想像以上に多いのです。
■ まとめ:守る力は、すべての土台にある

今日伝えたいことは、ただひとつです。
「結局なくしてしまうのなら、いくらお金を儲けたって意味がない」
守る力は、お金が貯まってから必要になるものではありません。
むしろ、少ない資産を守るところから、お金との向き合い方は鍛えられていきます。
- 「まだ関係ない」
- 「私は騙されない」
- 「私はお金持ちじゃないから大丈夫」
こうした考えが最も危険です。
詐欺や不正アクセスは、立場・年齢に関係なく襲ってきます。
そして、人間は誰しも騙される可能性があります。
それを前提としながら、知識をアップデートし、自分自身と家族の資産を守る意識を高めていくことが必要です。
守る力を鍛えることは、資産形成の第一歩であり、最後の砦でもあります。
これからお金持ちになるあなたにこそ、今日のテーマを深く心に刻んでおいてください。