「お墓を守る」という考え方が、今、大きく変わりつつあります。
先祖代々受け継がれてきた家墓を「墓じまい」する家庭が全国で急増しているのです。
厚生労働省のデータによれば、墓じまいを含む「改葬」は2023年度に16万6,886件。
10年前の約2倍に増え、2040年には年間30万件近くに達すると見込まれています。
これは単なる数字の変化ではなく、社会全体の価値観や生き方の変化を象徴しているといえるでしょう。
この記事では、墓じまいが広がる背景と、新しい弔いの形、そして「時代が変わる中でお金をどう使うべきか」について考えていきます。
■ 墓じまいが加速する背景

かつての日本では、「家」という単位が強く意識され、墓はその象徴でした。
しかし少子化と都市化が進む中で、地方にある実家の墓を守り続けることは次第に難しくなっています。
子ども世代が遠方に住み、墓参りが負担になる。あるいは、そもそも跡継ぎがいない――。
そうした事情から「自分の代で墓を閉じよう」と決断する人が増えています。
また、墓の維持費や清掃、法要にかかる費用も無視できません。
年間の管理費、交通費、供花代、墓石の修繕費……これらを合算すると、長期的にはかなりの出費になります。
経済的にも精神的にも、「お墓を持つこと」が以前ほど当たり前ではなくなってきたのです。
■ 新しい供養のかたち ― 永代供養・樹木葬・散骨

墓じまいをした後、遺骨をどうするか。
今の主流となっているのが、寺院や霊園に管理を委ねる「永代供養」です。
契約時に一度費用を支払えば、管理者が永続的に供養してくれるため、後継ぎがいない人でも安心できます。
さらに注目を集めているのが「樹木葬」。
墓石の代わりに樹木を植え、自然の中で眠るという方法で、宗教や宗派を問わず利用できます。
コストが比較的低く、自然にも優しいという点が支持され、現在では新規契約の約半数が樹木葬に移行しているとも言われます。
また、「海洋散骨」など、遺骨を自然へ還すスタイルも増えています。
「死後も自然の一部になりたい」「家族に負担を残したくない」という思いが、多様な供養のかたちを生み出しています。
■ デジタルが変える“弔い”の風景
近年はテクノロジーの進歩により、弔いのかたちも新しい段階に入りつつあります。
その代表例が「AI追悼」や「メタバース霊園」といったサービスです。
AI追悼では、故人の写真や声、動画をもとに生成AIが生前のしぐさや話し方を再現。
スマートフォンやパソコンの画面越しに、故人と“再び対話”することができます。
また、メタバース霊園では、仮想空間の中に墓地を構築し、アバターとして参加者が追悼できる仕組みが登場しています。
遠く離れていても、家族全員で法要に参加できる。時代は確実に変わっています。
これらの「デステック(Death Tech)」と呼ばれる分野はまだ新しいものの、
50年後、100年後には“当たり前の弔い方”として定着しているかもしれません。
■ 変わる価値観、変わるお金の使い方
今回の墓じまいの話は、単なる葬送のトレンドではありません。
「時代が変われば、お金の使い方も変わる」という象徴的な出来事です。
かつて日本人にとって、家を建てる・墓を建てる・子どもに継がせる、というのは人生の定番コースでした。
しかし今や、それらを「当然のこと」と考える人は減っています。
結婚、出産、マイホーム購入、葬儀や墓など──こうした人生の節目こそ、時代とともに大きく形を変えるのです。
「みんながやっているから」「常識だから」
そんな理由で大きなお金を使うことが、果たして本当に幸せにつながるのでしょうか。
大切なのは、“自分自身の軸”を持つことです。
自分がどんな人生を送りたいのか、何を大切にしたいのか。
その価値観に沿ってお金を使うことが、心の満足度を高める最も確実な方法です。
■ これからの時代、「お金の使い道」を見直す

時代の変化は止められません。
AIや少子高齢化、ライフスタイルの多様化によって、これまでの「常識」は次々と塗り替えられていくでしょう。
お墓や葬儀の形もその一部にすぎません。
大切なのは、変化を恐れず、自分にとって本当に意味のあることにお金を使うこと。
見栄や習慣のために支出するのではなく、「自分が納得できる選択」にお金と時間を注ぐ。
それこそが、これからの時代を賢く生きるための“新しいお金の教養”です。
■ まとめ
- 2023年の墓じまいは約16.6万件、10年前の2倍に。2040年には30万件に達する見込み。
- 墓を守る人が減少し、樹木葬や海洋散骨など「管理不要の供養」が主流に。
- AI追悼やメタバース霊園など、テクノロジーを用いた新しい弔い方も登場。
- 時代の変化に合わせて、「お金の使い方」も自分らしく選ぶ時代へ。
人の価値観は変わり、社会も変わる。
だからこそ、“誰かの常識”ではなく“自分の信念”に従って生きることが大切です。
お金は「他人の目のため」に使うものではなく、「自分の人生を豊かにするため」に使うもの。
墓じまいの広がりは、単なる供養の変化ではなく、
「生き方」と「お金のあり方」を見つめ直す、現代日本の大きな転換点なのかもしれません。