税務調査と査察調査の違いを分かりやすく解説

副業を始めたい人が「税金の不安」を手放すために

副業を始めたい人が「税金の不安」を手放すために

「副業を始めたいと思っているのですが、税金のことがよく分からなくて不安です。
特に“税務調査”という言葉が怖くて、確定申告を間違えたら逮捕されてしまうのではないかと心配しています。」

このような質問をいただきました。
結論からお伝えすると、確定申告を少し間違えた程度で、いきなり逮捕されることは絶対にありません。
どうか安心してください。

この不安の正体は、多くの場合「税務調査」と「査察調査」という、まったく性質の異なる2つの制度が混同されていることにあります。
テレビやドラマで目にする、いわゆる“ガサ入れ”のイメージが強烈なため、税務調査=強制捜査=逮捕、という誤解が広がっているのです。

そこで本記事では、次の2点を中心に、できるだけ分かりやすく解説していきます。

  1. 査察調査とは何か
  2. 税務調査とは何か

この違いを正しく理解することで、税金や副業に対する不安は大きく和らぐはずです。

1.査察調査とは何か

まず、世間でよくイメージされる「怖い調査」から説明します。それが査察調査です。

① 悪質な脱税者を摘発するための調査

査察調査は、意図的かつ悪質な脱税が疑われるケースに限定して行われます。
国税庁の公式資料でも、「刑事責任を追及し、一罰百戒によって適正・公平な課税を実現する」ことが目的とされています。

一罰百戒とは、「1人を罰することで、他の多くの人に警告を与える」という意味です。
そのため、査察事件はあえて大きく報道され、社会的なインパクトを与えることもあります。

② 犯罪捜査に準じた強制捜査

査察調査では、裁判所の令状を取得したうえで、本人の同意なしに強制捜査が行われます。
自宅や事務所、場合によっては取引先まで一斉に調査が入り、書類やデータ、現金などが差し押さえられます。

机やロッカーを調べるだけでなく、壁や床を壊して隠し財産を探すケースも実際に存在します。
これは、一般的な税務調査とはまったく別物です。

③ 刑事告発される可能性が高い

査察調査の結果、悪質な脱税が認定されると、国税庁から検察へ刑事告発が行われます。
令和5年度では、査察調査に着手した案件のうち、約66%が告発されています。

④ 裁判になれば、ほぼ確実に有罪

さらに驚くべきことに、査察事件が裁判になった場合、一審での有罪率はほぼ100%です。
これは、国税側が「確実に勝てる」と判断した案件しか告発しないためです。

⑤ 件数は極めて少ない

ただし、ここが重要なポイントです。
査察調査の件数は、年間100数十件程度しかありません。

所得税の申告件数が約2,300万件ある中で、対象となるのは約0.001%以下。
副業レベルの収入で、この調査を受ける可能性は現実的にほぼありません。

⑥ 脱税額が桁違い

査察調査の対象となる案件では、1件あたりの脱税額が平均約7,900万円とも言われています。
副業でこの金額を稼げていたら、それ自体がすでに成功者と言えるでしょう。

2.税務調査とは何か

2.税務調査とは何か

次に、一般の人が関わる可能性のある税務調査について説明します。

① 目的は「間違いの是正」

税務調査の目的は非常にシンプルです。
申告内容が正しいかどうかを確認し、誤りがあれば修正してもらうこと。

申告漏れや計算ミス、申告そのものを忘れていた場合に、「正しく直してくださいね」と是正を求めるためのものです。
悪質な脱税者を罰するためのものではありません。

② 犯罪捜査ではない

税務調査は、ドラマで見るような強制捜査とは全く異なります。
多くの場合、事前に「〇月〇日に調査を行います」「この資料をご用意ください」と連絡があります。

正当な理由があれば、日程の変更を相談することも可能です。
基本は話し合いと説明がベースで、冷静に誠実に対応すれば問題ありません。

③ 査察調査よりは一般的だが、確率は低い

令和4年度の申告所得税の実地調査件数は約4万6千件。
一見多く感じますが、2,300万件の申告のうちの0.2%にすぎません。

つまり、500回確定申告をして1回当たるかどうかという確率です。

よくある疑問に答えます

よくある疑問に答えます

疑問① 副業を始める前に、どれくらい税金を知っておくべき?

答えはシンプルです。「本1冊分」で十分です。
知識ゼロはおすすめしませんが、完璧を目指す必要もありません。

疑問② 途中で税金の壁にぶつかりませんか?

それが普通です。
個人も企業も、走りながら考え、必要に応じて専門家を頼るのが現実です。

税金の世界には「解釈の幅」が多く、プロでも判断に迷うケースがあります。
副業初期に悩みすぎる必要はありません。

疑問③ 適当に始めて、あとで調査が来たら大変では?

慌てる必要はありません。
税務調査は話し合いですし、間違いがあれば修正すればいいだけです。

もし申告に誤りがあった場合は、

  • 修正申告をする
  • 遅れた分の利息を支払う
  • 過少申告加算税を支払う

これらは罰金ではなく、犯罪でもありません。
誠実に対応すれば、逮捕されることはありません。

まとめ:走りながら学べばいい

税金は学校で教わる機会がほとんどありません。
だから分からなくて当然です。

「税務調査が怖いから副業を始められない」というのは、本末転倒です。

おすすめの進め方は次の通りです。

  • 最低限の知識(本1冊分)を身につける
  • まずは副業を始める
  • 必要に応じて学び、修正する

正しく申告し、きちんと納税する姿勢があれば、怖い調査や逮捕とは無縁です。
不安を理由に行動を止めず、ぜひ一歩を踏み出してみてください。