お金のニュース解説
【眠れぬ夜】不動産クラウドファンディングで何が起きているのか**
近年、投資の世界で存在感を強めてきた「不動産クラウドファンディング」。
インターネット上で少額から不動産投資ができ、年利7%、10%といった高利回りをうたう商品も多く、個人投資家の間で人気を集めてきました。
しかし最近、その裏側で不穏なニュースが相次いでいます。
日経新聞でも「高利回りで人気だが、償還遅れや事業者破産が発生している」「情報開示に課題がある」といった内容が報じられました。
今回は、この不動産クラウドファンディングを巡る現状とリスクについて、具体的な事例を交えながら整理していきます。
■ 不動産クラウドファンディングとは何か

不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて複数の投資家から資金を集め、その資金で不動産を取得・運用し、得られた収益を分配する仕組みです。
- 少額から投資できる
- 手続きが簡単
- 表面利回りが高い
こうした特徴から、「不動産投資の入り口」として注目を集めてきました。
しかし、この「手軽さ」と「高利回り」は、同時に大きな落とし穴にもなります
■ 償還遅延という現実
まず注目されたのが、ヤマワケエステートの償還遅延です。
札幌市の集合住宅に投資する複数のファンドで、本来は2025年2〜5月に償還予定だった資金が、現在も返還されていません。
ここで重要なのが「償還遅延」という言葉の意味です。
これは簡単に言えば、
「約束していた期日までに投資家へお金を返せなくなった状態」
を指します。
理由はさまざまですが、資金繰りが想定通りにいっていない可能性が高く、投資家にとっては非常に不安な状況です。
今後、
- 元本が全額返ってくるのか
- 一部しか返ってこないのか
- 最悪の場合、返ってこないのか
それが分からないまま、ただ待つしかない。
多額の資金を投じていた人にとっては、まさに「眠れぬ夜」が続く状態でしょう。
ここで改めて強調しておきたいのは、広告塔に有名人が起用されているかどうかは、投資の安全性とは一切関係がないという事実です。
むしろ一般論としては、「有名人を使わないと売れない商品」である可能性を疑う視点を持つべきでしょう。
■ 事業者破産という最悪のケース

さらに深刻なのが、運営事業者そのものが破産するケースです。
沖縄県の不動産ファンドを運用していたダイムラー・コーポレーションは、2024年7月に破産手続きを開始しました。
この会社のファンドには、直近1年間だけで延べ約380人が投資していたとされています。
事業者が破産するということは、投資家にお金を返す余力がないということです。
この場合、多くの投資家は元本を回収できない可能性が高くなります。
ここでよく言われるのが、不動産クラウドファンディングは
「コツコツドカン」になりやすい投資
だという点です。
毎月、安定して分配金が支払われている間は安心してしまう。
しかし、最後に一度トラブルが起きれば、元本を丸ごと失い、トータルでは大きな赤字になる。
この構造を理解していないと、非常に危険です。
■ 「みんなで大家さん」の分配遅延
さらに、「少額から誰でも大家になれる」として有名な「みんなで大家さん」でも、分配金の遅延が発生しています。
2024年7月末に支払われる予定だった分配金が遅れ、一部では
「将来的に会社そのものが立ち行かなくなるのではないか」
といった噂も出始めています。
このシリーズは累計で2000億円以上の資金を集めており、仮に大きな問題に発展した場合、その社会的影響は非常に大きなものになります。
現時点では断定的なことは言えませんが、「分配遅延」は明確な警告サインであることは間違いありません。
■ 日経新聞の記事は中立だが…

今回の日経新聞の記事は、不動産クラウドファンディングの仕組みや魅力を説明しつつ、成功事例も紹介しています。その上で、償還遅延や破産事例、情報開示の不十分さといった問題点も指摘しており、非常にバランスの取れた内容でした。
ただし、そのバランスの良さゆえに、**投資初心者には「結局どうすればいいのか分からない」**という印象を与えてしまう側面もあります。
そこで、ここからはあえて偏った個人的意見を述べます。
不動産クラウドファンディングは、無理にやる必要はありません。
業界としてまだ成熟しておらず、リスクに見合ったリターンが得られているとは言い難い。
株式インデックス投資、国際分散ファンド、REITなど、より透明性が高く、実績のある選択肢は他にもたくさんあります。
限られた投資資金は、慎重に使うべきです。
■ まとめ:これからの環境を踏まえて
現在、日本の金利は上昇傾向にあります。
一般論として、金利が上がると不動産投資はハードモードになります。
理由はシンプルです。
- 借入金利が上がり、返済負担が重くなる
- 不動産を購入できる人が減り、価格が上がりにくくなる
この環境下では、資金力や立地に強みのある一部を除き、苦しくなる不動産事業者は増えていくでしょう。
不動産クラウドファンディングでも、今後さらにトラブルが表面化する可能性は十分にあります。
大切なのは、
「高利回り」に飛びつく前に、「最悪のケース」を想像すること。
あなたの大切なお金を、どこに預けるのか。
後悔のない選択をするためにも、冷静な視点を忘れないでください。