【お金のニュース解説】
マリオットカード改悪──ほとんどの人は解約で問題ない理由

これまで何度も紹介してきた「マリオットカード(旧SPGアメックス)」が、今月の制度改定によってほとんどの人にとって“改悪”といえる内容になりました。
このカードは、もともと旅行好きの人にとって非常に魅力的な一枚でした。日常の支払いに使っているだけでポイントがどんどん貯まり、そのポイントはマリオット系列ホテルの宿泊や、航空会社のマイルにも交換可能。年会費はかかるものの、それ以上のリターンを得られるケースが多く、「持っているだけで得をするカード」として高い人気がありました。
しかし今回の改定により、その前提が大きく崩れています。
■ 何がどう変わったのか?今回の主な改定点
まず、今回の改定で特に影響が大きいポイントを整理します。
● 年会費の大幅な値上げ
年会費は
49,500円(税込) → 82,500円(税込)
と、一気に3万円以上引き上げられました。
● 無料宿泊特典の獲得条件が厳格化
これまで、年間150万円以上のカード利用で無料宿泊特典が付与されていました。さらに以前は「持っているだけで」無料宿泊券がもらえた時代もあります。
ところが今回の改定で、
年間150万円 → 年間400万円以上の利用
が条件となりました。
月に換算すると約33万円以上。一般的な家計では、かなり高いハードルです。
● 事業決済でのポイント付与が対象外に
このカードは、事業の仕入れや経費決済に使う人も多くいました。100円につき3ポイントが付与され、せどりや個人事業の決済では「ポイントが美味しすぎる」と言われていたほどです。
しかし今回の改定で、事業用決済はポイント付与対象外となりました。これにより、事業利用のメリットはほぼ消えたと言っていいでしょう。
■ 一般利用者・事業利用者への影響
この改定を受けて、利用者ごとの影響ははっきり分かれます。
◆ 一般利用者の場合
年間400万円以上の決済が必要となると、ほとんどの人にとって現実的ではありません。結果として、年会費に見合うメリットを得にくくなったと言えます。
◆ 事業利用していた人の場合
ポイントが付かなくなったことで、他のカードを使った方が合理的です。あえてマリオットカードを使い続ける理由は薄れました。
総合すると、多くの人にとっては「解約で問題ないカード」になったというのが率直な評価です。
■ なぜこんな改定が行われたのか?

理由を一言でまとめると、
マリオットグループが「よりお金を落としてくれる顧客」を重視する方針にシフトしたからです。
実際、マリオット系列ホテルの関係者から聞いた話では、ポイント宿泊の客はホテル側の利益が非常に少ないそうです。
- 10万円分のポイントで宿泊される
- 10万円を現金(円・ドル)で支払って宿泊される
この2つでは、ホテル側の取り分が大きく異なります。ポイント宿泊は、実質的に「割引客」だからです。
さらに、ポイント宿泊の利用者は、無料朝食だけで済ませ、館内レストランや有料サービスをあまり利用しない傾向があります。混雑だけが増え、売上は伸びにくい。加えてマナーや客層の問題もあり、本来のラグジュアリーな雰囲気が損なわれるという側面もあります。
現在は世界的にオーバーツーリズムの状態で、ホテルはどこも混雑しています。マリオットとしては、
- 安く泊まる客を増やすより
- 普通にお金を払ってくれる富裕層を大切にしたい
という、企業としてはごく自然な判断をした、というわけです。
■ マリオットグループのメッセージ
今回の改定から読み取れるメッセージは明確です。
- 普段からマリオットカードをたくさん使い
- マリオット系列のホテルにも頻繁に泊まり
- しっかりお金を落としてくれる人
こうした「マリオットが本当に大切にしたい顧客」を優遇する、という方針です。
つまりこのカードは、誰にでもおすすめできるカードではなく、明確に「人を選ぶカード」になりました。
■ 私はどうするのか?
私はこのカードを継続する予定です。理由は単純で、普段の生活や支払いで年間500万円以上は普通に使うからです。
ただし、友人や家族など、一般的な所得層の人には、もう積極的には勧められません。無理して使うカードではありませんし、ポイ活のために支出を増やすのは本末転倒です。
すでにカードを持っている人も、2025年11月以降の年会費更新からは82,500円になります。更新月の1か月前を目安に、解約を検討すれば十分でしょう。なお、2025年11月以前に更新する場合は、1年間は旧年会費で利用できます。
ポイントについても、カードを解約してすぐに消えるわけではありません。期限内に、ゆっくり使えば問題ありません。
■ では、次におすすめのカードは?

正直に言えば、「これだ!」というカードはありません。
あえて挙げるなら、これまでと同じく
- 楽天カード
- 三井住友NLカード
で十分です。
Oliveについては、三井住友銀行口座が必須になる点で、管理が煩雑になります。小金持ちを目指すうえでは、銀行口座やカードは極力シンプルにした方がいいと私は考えています。
■ クレジットカード選びの本質
私の考えは一貫しています。
- クレジットカードは家計管理がしやすければOK
- 80点取れていれば十分
- ポイントを追い求めすぎるのはコスパが悪い
カード事業の仕組み上、「極端にお得なカード」は長続きしません。出てきても、いずれ改悪されます。0.数%の還元率を追いかけるより、稼ぐ力・貯める力・増やす力にエネルギーを使った方が、よほど人生は楽になります。
■ 今日のまとめ
- マリオットカードの特典が改定
- 多くの人にとっては改悪
- 年間500万円以上決済できる人なら継続もアリ
- 人を選ぶカードになった
- 乗り換え先は楽天カード・三井住友NLカードで十分
最終的に大切なのは、ポイントではなく強い家計です。
旅行に行くときも、「無料だから」ではなく「払えるから行く」という状態を目指しましょう。その方が、ずっと自由で楽しい人生になります。