税金を減らせる「控除」を活用しよう

税金を減らせる「控除」を活用しよう

控除とは何かを考えることから始まる

お金を貯めるうえで、収入を増やすことと同じくらい大切なのが「税金を減らす」という視点です。
特に会社員の場合、節税の基本は「控除」を正しく理解し、きちんと活用することにあります。

税金は、収入そのものに直接かかるわけではありません。
「課税所得」と呼ばれる金額に対して課税されます。
つまり、課税所得を小さくできれば、その分、支払う税金も少なくなるのです。

では、その課税所得を減らすために重要な「控除」とは、いったい何なのでしょうか。

会社員なら自動的に受けられる「給与所得控除」

会社員なら自動的に受けられる「給与所得控除」

まず、会社員や給与所得者が必ず受けられる控除があります。
それが「給与所得控除」です。

これは、給与収入に応じて一定額が自動的に差し引かれる仕組みで、個別に申請する必要はありません。
実際にスーツを買ったか、仕事の飲み会に参加したかといった事実は関係なく、「会社員として働くために必要な経費があるだろう」という考え方にもとづいて一律に認められています。

個人事業主が経費を計上するのと似た役割を、会社員向けに簡略化した制度だと考えると分かりやすいでしょう。

この給与所得控除をベースに、さらに個人の事情に応じて差し引けるものが「所得控除」です。

所得控除は全部で15種類あるが、覚える必要はない

所得控除には全部で15種類ありますが、最初からすべてを暗記する必要はありません。
重要なのは、「どんな考え方の控除があるのか」を理解することです。

代表的なものとして、まず挙げられるのが「基礎控除」です。
これは、最低限の生活費には税金をかけないという考え方にもとづく控除で、所得が低い人ほど生活が苦しくならないよう配慮されています。

次に、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」があります。
所得の低い配偶者がいる場合に認められる控除で、一定の所得以下であれば幅広く対象となります。

また、「扶養控除」もよく知られています。
所得が一定額以下の親や子どもを扶養している場合、生活負担が大きいことを考慮して、控除が認められます。

これらはすべて「人に関する控除」です。
「このような家族構成なら、税負担を軽くしてあげよう」という考え方が根底にあります。

生活に関係する控除も数多く存在する

人に関する控除以外にも、生活に関係する控除があります。

たとえば、保険料を支払っている場合の控除、私的年金制度への掛金、一定の寄付を行った場合の控除などです。
医療費が年間で一定額を超えた場合に使える「医療費控除」や、災害や盗難などで損失を受けた場合の「雑損控除」もあります。

なお、一部の控除については制度改正が予定されており、控除額の変更や新たな控除の創設が行われる予定です。
細かい内容まで覚える必要はありませんが、「制度は変わることがある」という意識は持っておくとよいでしょう。

会社員は年末調整で多くの控除が完結する

会社員は年末調整で多くの控除が完結する

「控除が多すぎて分からない」と感じる人も多いかもしれません。
しかし、会社員の場合、多くの控除は年末調整で手続きが完了します。

年末調整とは、毎月おおよそで天引きされていた税金を、1年の実際の状況にもとづいて精算する仕組みです。
結婚や家族構成の変化、保険加入、医療費の発生などは、年が終わってみないと確定しません。

そこで、会社に必要な書類を提出することで、「税金を払いすぎていた分」が戻ってくるのです。

年末調整で対応できる控除と、自分で申告が必要な控除

ここで重要なポイントがあります。
控除には、「会社が年末調整で対応してくれるもの」と、「自分で申告しないと使えないもの」の2種類があるという点です。

扶養控除や配偶者控除などは、会社から案内された書類を提出すれば問題ありません。
一方、医療費控除などは、会社から聞いてくれることはありません。

「申告しなければ、なかったことになる」
これが確定申告が必要な控除の特徴です。

知らなかった、面倒だったという理由で申告せず、損をしている人は少なくありません。

対象者が多く、実用的な3つの控除

対象者が多く、実用的な3つの控除

数ある控除の中でも、特に多くの会社員が使いやすいものは次の3つです。

  • 寄付に関する控除
  • 医療費控除
  • 扶養控除

これらは対象者が多く、正しく使えば家計への効果も大きい控除です。「控除があるからお得」は大きな誤解

ここで、非常に重要な勘違いについて触れておきます。

「控除があるから税金がそのまま返ってくる」
このように思っている人は少なくありません。

しかし、控除とは「課税所得を減らす仕組み」であって、「支払った金額がそのまま戻る仕組み」ではありません。

たとえば、5万円の控除があった場合、戻ってくるのは
「5万円 × 税率」
に相当する金額です。

税率が20%であれば、戻るのは1万円です。
控除額そのものが返ってくるわけではありません。

そのため、「控除目的だけ」でお金を支払う行動は、本末転倒になることもあります。
節税はあくまで結果であり、目的ではないという視点が大切です。

扶養は「収入が多い人」につけた方が有利

扶養に関する質問でよくあるのが、「どちらの扶養に入れると得か」という点です。

税金は課税所得が多いほど、税率が高くなります。
そのため、同じ控除額であれば、税率が高い人に扶養をつけた方が節税効果は大きくなります。

つまり、一般的には「より収入の多い人」の扶養に入れる方が有利です。

税金の扶養と社会保険の扶養は別物

税金の扶養と社会保険の扶養は別物

最後に、混同されやすいポイントとして「扶養には2種類ある」という点を押さえておきましょう。

ひとつは「税金の扶養」。
これは控除が増え、扶養する側の税負担が軽くなります。

もうひとつは「社会保険の扶養」。
こちらは、扶養される側が保険料を支払わずに済む仕組みです。

税金と社会保険では、扶養の意味も、得をする人も異なります。
この違いを理解しておくことで、制度を正しく使えるようになります。

控除を知ることは、お金を守る第一歩

控除は、特別な知識がない人でも、知っているだけでお金を守れる仕組みです。
すべてを完璧に覚える必要はありません。

「税金は課税所得にかかる」
「控除は課税所得を減らすもの」

この2つを押さえ、自分が使える控除を確実に使うこと。
それが、お金を貯める力を身につけるための第一歩です。