【要注意】「家賃より住宅ローンが安い」は本当?持ち家購入の落とし穴を解説
マイホームの購入を検討していると、不動産会社からよく聞く言葉があります。
それは「今払っている家賃より、住宅ローンの返済額のほうが安いですよ」というものです。
一見すると非常に魅力的な提案に感じます。家賃と同じ、あるいはそれ以下の支払いで新築の家に住めて、しかも将来的には自分の資産になると言われれば、購入を前向きに考えてしまう人も多いでしょう。
しかし、この考え方には大きな落とし穴があります。実は、多くの人が比較するポイントを間違えているのです。
家を購入する際に本当に比較すべきなのは、単純な住宅ローンの返済額ではありません。重要なのは「真実の家賃」と呼ばれる考え方です。
この記事では次の2つのテーマについて解説します。
- 真実の家賃の計算方法
- 家選びから見える「お金に強い人」と「お金に弱い人」の違い
マイホーム購入を検討している人はもちろん、将来的に家を買う予定がない人にとっても役立つ内容です。住宅購入は数百万円単位で資産に影響する大きな決断です。正しい知識を身につけて判断することが大切です。
真実の家賃とは何か

真実の家賃とは、家を購入して一定期間住み、その後に売却した場合のトータルの損益を月額に換算したものです。
つまり、「家に住むために実際にいくら支払ったのか」を正確に計算する方法です。
この考え方では、単純なローン返済額ではなく、次の要素をすべて含めて計算します。
真実の家賃の計算式
(総キャッシュアウト − 総キャッシュイン) ÷ 居住月数
ここで重要になる要素は次の3つです。
- 総キャッシュアウト(支出)
- 総キャッシュイン(売却などで入るお金)
- 居住期間
この3つをもとに計算することで、家に住むための実際のコストが見えてきます。
真実の家賃を構成する3つの要素
①総キャッシュアウト(支出)
まずは家を購入することで出ていくお金です。主に次の3種類に分かれます。
初期費用
住宅購入には多くの手数料がかかります。例えば次のような費用です。
- 契約時の税金
- ローン保証料
- 不動産取得に関する税金
- 登記費用
- 金融機関の事務手数料
- 火災保険
- 不動産会社への仲介手数料
一般的に、これらの費用は物件価格の6〜9%程度と言われています。
ランニングコスト
購入後も毎月さまざまな費用が発生します。
- 住宅ローンの返済
- 固定資産税
- 修繕費
- 保険料
特に戸建て住宅の場合、外壁や屋根などの修繕費を自分で負担する必要があります。
売却時の費用
将来家を売却する場合にも費用が発生します。
- 不動産仲介手数料
- 手続き費用
- ローン残債の清算
これらの費用も無視することはできません。
②総キャッシュイン(収入)
家を売却した際に得られるお金がここに含まれます。
ただし、多くの住宅は時間の経過とともに価値が下がります。特に建物部分は減価が早く、購入から数年で価格が下がるケースも珍しくありません。
そのため、購入価格と同じ金額で売却できるとは限らないのです。
③居住期間
真実の家賃を計算するうえで非常に重要なのが「どれくらい住むのか」です。
人生にはさまざまな変化があります。
- 転勤
- 家族構成の変化
- 収入の変動
- 親の介護
- 住み替え
こうした理由で予定より早く家を手放すケースもあります。
居住期間が短いほど、購入時や売却時の手数料の負担が重くなり、結果的に住居コストは高くなる傾向があります。
シミュレーションで見える本当のコスト

仮にある住宅を購入し、10年間住んだとします。
初期費用、ローン返済、税金、売却費用などをすべて合計した場合、支出の総額は大きな金額になります。一方で、10年後に家を売却すれば一定のお金が戻ってきます。
この差額を月数で割ることで、実際に支払った住居費が見えてきます。
このように計算すると、単純なローン返済額よりも実際の住居費が高くなるケースは少なくありません。
つまり、「家賃よりローンが安いから得」という考え方は必ずしも正しくないのです。
家選びから見える「お金に強い人」の思考
住宅購入は、その人のお金に対する考え方がよく表れる場面でもあります。ここでは、お金に強い人の特徴を紹介します。
不測の事態を想定する
お金に強い人は、将来のリスクをきちんと考えます。
例えば次のようなリスクです。
- 金利の上昇
- 転職や収入減
- 修繕費の発生
- 想定より低い売却価格
「一生住むから大丈夫」と楽観的に考えるのではなく、もしもの場合でも対応できるかどうかを確認します。
複数のシナリオで考える
お金に強い人は、ひとつの未来だけで判断しません。
例えば住宅購入を考える際も、次のような複数のシナリオを想定します。
- 楽観シナリオ
- 標準シナリオ
- 悲観シナリオ
最悪のケースでも大きな損失にならないかを確認したうえで判断します。
トータルで比較する
お金に強い人は、全体のコストで判断します。
一方で、お金に弱い人は次のような比較をしがちです。
- 家賃 vs ローン返済額
しかし本来は次のような項目をすべて含めて考える必要があります。
- 初期費用
- 税金
- 修繕費
- 売却費用
- 資産価値の変動
長期的な視点でトータルコストを考えることが重要なのです。
まとめ

住宅購入は人生の中でも特に大きな買い物です。そのため、感覚やセールストークだけで決めるのではなく、数字で冷静に判断することが重要です。
今回のポイントをまとめます。
真実の家賃の計算方法
(総キャッシュアウト − 総キャッシュイン) ÷ 居住月数
そして、お金に強い人は次のような思考を持っています。
- 不測の事態を想定する
- 複数のシナリオで考える
- トータルコストで比較する
持ち家と賃貸のどちらが絶対に得という単純な答えはありません。重要なのは、自分の状況や価値観に合った選択をすることです。
住宅購入を検討する際は、セールストークに流されるのではなく、自分自身で計算し、納得したうえで判断することが大切です。
冷静な視点で住まいを選ぶことが、将来の資産形成にも大きく影響するのです。