ズルい賞与のもらい方!「事前確定届出給与」のメリット&デメリット

ズルい賞与のもらい方!「事前確定届出給与」のメリット&デメリット

知って得する「事前確定届出給与」とは

― 社長のための賞与戦略とその注意点 ―

はじめに

資産形成や節税を考えるうえで、制度の理解は非常に重要です。特に法人を経営している場合、報酬の受け取り方ひとつで手取り額や将来の資産に大きな差が生まれます。

本記事では、中小企業の経営者や一人法人の代表者向けに、「事前確定届出給与」という制度について解説します。この制度は一見すると難解ですが、正しく理解すれば大きなメリットを得ることが可能です。

事前確定届出給与とは何か

事前確定届出給与とは、役員報酬の支払い方法の一つであり、あらかじめ税務署に「誰に・いつ・いくら支払うか」を届け出ておくことで、賞与として認められる制度です。

通常、役員報酬は毎月同額で支払う必要があります。これは、決算直前に報酬額を調整して利益を操作することを防ぐためです。しかし、この制度を利用すれば、事前に決めた金額に限り、ボーナスの支給が可能になります。

なぜこの制度が注目されるのか

なぜこの制度が注目されるのか

この制度が注目される理由は、「報酬の受け取り方を工夫することで社会保険料を抑えられる可能性がある」点にあります。

例えば、年収が同じでも、毎月均等に給与を受け取る場合と、月給を低く抑えて賞与を多くする場合とでは、社会保険料に差が生じることがあります。結果として、手取り額が増えるケースもあるのです。

メリット① 社会保険料の削減

社会保険料は主に「標準報酬月額」を基準に決まります。これは毎月の給与額をもとに計算されるため、月給を低く設定すれば保険料も抑えられます。

一方で、賞与については一定額を超えると保険料の対象外となる部分が存在します。そのため、報酬の多くを賞与として受け取ることで、結果的に保険料の総額を抑えることが可能になります。

この仕組みにより、同じ年収でも数十万円単位で差が生じるケースもあり、長期的には大きな資産差につながる可能性があります。

メリット② 高額療養費制度で有利になる

医療費が高額になった場合に自己負担額を抑える「高額療養費制度」は、標準報酬月額を基準に計算されます。

つまり、月給が低い場合、自己負担の上限額も低くなる可能性があります。年収が同じであっても、給与構成によって医療費の負担に差が出るという点は見逃せません。

デメリット① 手続きが煩雑でミスが許されない

この制度を利用するには、期限内に正確な書類を提出し、届出通りに支払いを行う必要があります。

金額や支給日が1円・1日でもずれると、報酬が経費として認められないリスクがあります。その結果、税負担が大きく増える可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

デメリット② 業績変動によるリスク

デメリット② 業績変動によるリスク

報酬額を事前に決める必要があるため、業績が予想より悪化した場合でも、予定通りの支払いが必要になります。

その結果、会社が赤字になる可能性もあり、金融機関からの評価に影響することも考えられます。

デメリット③ 資金繰りの難しさ

月給を低く設定する場合、日常生活の資金は別途確保しておく必要があります。賞与が年1回である場合、そのタイミングまで資金が不足する可能性があるためです。

最低でも1年分の生活費を準備しておくことが望ましいでしょう。

デメリット④ 社会保障が減少する

社会保険料を抑えるということは、その分、将来受け取れる年金や各種給付も減少することを意味します。

例えば、病気や出産で働けない場合に支給される手当は、標準報酬月額をもとに計算されるため、月給が低いと受給額も少なくなります。

デメリット⑤ 退職金への影響

役員退職金の上限額は、最終報酬月額をもとに計算されることが一般的です。

そのため、月給を低く抑えていると、将来的に受け取れる退職金の額にも影響が出る可能性があります。

制度を活用できる人の特徴

制度を活用できる人の特徴

この制度は誰にでも適しているわけではありません。特に以下のような条件を満たす人に向いています。

  • 正確な事務手続きができる
  • 資金に余裕がある
  • 業績変動に対応できる
  • 長期的な資産設計ができる

これらを満たさない場合、かえってリスクが大きくなる可能性があります。

まとめ

事前確定届出給与は、合法的に報酬の受け取り方を調整できる制度であり、うまく活用すれば社会保険料の削減などのメリットが期待できます。

一方で、手続きの煩雑さや将来の保障への影響など、無視できないデメリットも存在します。

重要なのは、「制度を知ったうえで、自分に合うかどうかを判断すること」です。必要に応じて専門家に相談しながら、慎重に検討することが大切です。

知識は資産形成の土台となります。制度を正しく理解し、自分にとって最適な選択を積み重ねていきましょう。