引越し費用を安くしよう

引っ越し業者と上手につきあうために――知らないと損をする「費用」の話

引っ越し業者と上手につきあうために――知らないと損をする「費用」の話

退去費用は思ったよりかからなかった。けれど、引っ越し費用の見積もりを見て、思わずため息が出た――そんな声を、私たちはよく耳にします。
「こんなに高いものなのだろうか」「もう少し安くならないのだろうか」。引っ越しは生活の節目であると同時に、大きな出費を伴う出来事です。だからこそ、できるだけ費用を抑え、無理のない形で新生活を始めたいと考えるのは、ごく自然なことだと思います。

引っ越し費用を抑えるために、私たちができることは大きく分けて二つあります。どちらも特別な知識や交渉術を必要とするものではありません。けれど、この二つを知っているかどうかで、支払う金額に驚くほどの差が生まれることがあります。

大手以外の選択肢を知るということ

大手以外の選択肢を知るということ

一つ目は、「必ずしも大手引っ越し業者を選ばなくてもよい」という事実を知ることです。
多くの人が、「名前を知らない業者は不安」「安いということは、サービスの質が低いのではないか」と感じています。しかし、それは思い込みである場合が少なくありません。

実際には、大手引っ越し業者で経験を積んだスタッフが独立して立ち上げた会社や、大手の下請けとして長年業務を担ってきた業者も数多く存在します。作業の手順や品質は、大手とほとんど変わらないにもかかわらず、テレビCMや広告宣伝に多額の費用をかけていない分、引っ越し料金は抑えられやすいのです。

もちろん、業者ごとに当たり外れがあるのも事実です。不安な場合は、口コミや評判を確認することで、ある程度の判断材料を得ることができます。名前の知名度だけで判断するのではなく、「どのような会社なのか」を見極める視点が大切です。

大手を選ぶなら、必ず相見積もりを

大手を選ぶなら、必ず相見積もりを

二つ目は、「相見積もりを取ること」です。
たとえ大手引っ越し業者を利用する場合でも、見積もりは一社だけで決めてはいけません。最低でも三社程度から見積もりを取ることで、初めて適正な相場が見えてきます。

引っ越し業界では、最初に提示される金額が高めに設定されていることが珍しくありません。広告費や立地の良い事務所の維持費など、多くの固定費を抱える大手業者ほど、その傾向は強くなります。その費用は最終的に、引っ越しを依頼する私たち利用者が負担しているのです。

中には、最初に高額な見積もりを提示し、交渉によって「特別に値下げした」と演出する営業手法を用いる業者もあります。上司に電話で相談するふりをしたり、「今回だけの特別価格です」と即決を迫ったりするのは、その典型例です。しかし、多くの場合、価格は最初から想定の範囲内で動いているに過ぎません。

相見積もりを取ることで、こうした心理的な駆け引きから距離を置くことができます。一社即決は、相場を知らないまま高額な費用を支払うリスクを伴う行為だということを、ぜひ覚えておいてください。

業者の「手間」を減らすという視点

引っ越し費用は、業者の負担が減るほど安くなります。たとえば、繁忙期を避けること。ゴールデンウィーク、年末、そして特に三月から四月初旬は、料金が通常の二倍、三倍になることも珍しくありません。可能であれば、この時期を外すだけで大きな節約につながります。

また、作業時間帯を指定しない、不用品を事前に処分しておく、荷造りを自分で行うといった工夫も有効です。もっとも、荷造りについては、時間や労力との兼ね合いを考え、費用に見合うと感じた場合は業者に任せるのも一つの判断です。「できることは自分で行う」という基本を押さえつつ、無理をしないことも大切です。

賢い利用者になるために

引っ越し前後は、想像以上に忙しく、心にも余裕がなくなりがちです。特に転勤などで期限が決まっている場合、冷静な判断が難しくなります。だからこそ、業者の言葉を鵜呑みにせず、一度立ち止まって考える姿勢が求められます。

引っ越し業者は、決して敵ではありません。しかし、何も知らずに任せきりにしてしまうと、不必要に高い費用を支払う結果になりかねません。相場を知ること、比較すること、そして納得したうえで選ぶこと。それだけで、引っ越しはもっと健全で、前向きなものになります。

支出を抑えることは、将来の安心につながります。引っ越しという大きなイベントをきっかけに、賢い消費者としての一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。