「控除」以外で節税する考え方と、副業による新しい選択肢
多くの会社員にとって、「節税」と聞くと、年末調整や確定申告で利用できる各種控除を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。生命保険料控除や医療費控除、配偶者控除など、制度として用意されている控除を活用することで、税負担をある程度軽減することは可能です。しかし、これらの控除には上限があり、誰もが無制限に節税できるわけではありません。
実際のところ、会社員が給与所得だけで受けられる節税効果には限界があります。控除をすべて使い切ってしまえば、それ以上税金を減らすことは難しくなります。そこで注目したいのが、「控除に頼らない節税の考え方」です。その有力な選択肢の一つが、副業を始めて事業所得を得ることです。
副業というと、「忙しくなりそう」「難しそう」「自分には無理ではないか」といった不安を感じる方も少なくありません。しかし、副業は単に収入を増やすための手段にとどまらず、税金の仕組みを理解した上で取り組むことで、結果的に手取りを増やす効果も期待できます。ここでは、副業によって得られる事業所得が、なぜ節税につながるのかを丁寧に解説していきます。
給与所得と事業所得の違いを知る

まず理解しておきたいのは、給与所得と事業所得の違いです。給与所得は、会社から支払われる給料や賞与に対して適用される所得区分で、税金の計算方法があらかじめ決められています。必要経費として認められる金額も、一定の計算式に基づく「給与所得控除」のみです。
一方、事業所得は、自分で行う事業や副業によって得た収入から、実際にかかった経費を差し引いて計算されます。この「経費を差し引ける」という点が、事業所得の大きな特徴であり、節税につながる重要なポイントです。
副業を始めて事業所得を得ることで、税金の計算において選択肢が増え、結果として支払う税金を抑えられる可能性が広がります。
副業による節税メリット① 経費を計上できる
副業による節税の一つ目のメリットは、経費を計上できる点です。事業を行う上で必要な支出は、経費として収入から差し引くことができます。たとえば、仕事に使うパソコンや周辺機器、書籍や勉強のための教材、打ち合わせや移動にかかる交通費、作業場所として使うスペースの一部などが該当します。
これらは、給与所得では基本的に認められませんが、事業所得であれば「事業に必要である」と説明できる範囲で経費として扱うことができます。経費が増えれば、その分課税対象となる所得が減り、結果として税金も軽くなります。
ただし、何でも経費にできるわけではありません。あくまで「事業に関連する支出」であることが重要です。私的な支出と事業用の支出をきちんと区別し、説明できる形で記録を残しておくことが大切です。
副業による節税メリット② 特別な控除を使える

副業を事業として行い、一定の条件を満たした場合には、青色申告特別控除を利用することができます。これは、事業をきちんと管理し、帳簿を整えて申告している人に対して認められる制度です。
この控除を利用できると、事業所得からさらに一定額を差し引くことができ、税負担を大きく減らす効果があります。単に収入を得るだけでなく、正しく帳簿をつけて申告することで、国が用意している制度の恩恵を受けられるのです。
最初は帳簿づけに不安を感じるかもしれませんが、現在では家計管理や記帳をサポートするツールも充実しています。完璧を目指す必要はなく、少しずつ慣れていけば問題ありません。
副業による節税メリット③ 社会保険料が増えにくい
三つ目のメリットは、事業所得には原則として社会保険料がかからない点です。会社員の場合、給与が増えると、その分社会保険料の負担も増えます。昇給や残業によって手取りが思ったほど増えないと感じた経験がある方も多いでしょう。
一方、副業による事業所得は、給与とは別枠で扱われるため、同じように社会保険料が増えるわけではありません。そのため、収入が増えても、手元に残るお金が比較的多くなりやすいという特徴があります。
もちろん、税金そのものがなくなるわけではありませんが、「収入が増えるほど負担も自動的に増える」という構造から一部外れることができる点は、大きな魅力といえます。
節税は「ズル」ではなく「制度の理解」

ここまで読んで、「節税というと何だか後ろめたい」と感じる方もいるかもしれません。しかし、制度として認められている範囲で税負担を軽くすることは、決して悪いことではありません。むしろ、税金の仕組みを正しく理解し、賢く行動することは、自分や家族の生活を守るために必要な知識です。
控除だけに頼る節税には限界がありますが、副業という選択肢を持つことで、収入面でも税金面でも柔軟な対応ができるようになります。
まとめ:副業は収入と節税、両方の可能性を広げる
会社員の節税は、控除だけでは頭打ちになりやすいのが現実です。その壁を超える一つの方法が、副業によって事業所得を得ることです。
副業には、
- 経費を計上できる
- 特別な控除を活用できる
- 社会保険料が増えにくい
という三つの大きなメリットがあり、これらがそのまま節税につながります。
もちろん、副業はすぐに大きな成果が出るものではありません。しかし、小さく始めて経験を積みながら続けていくことで、収入の柱を増やし、税金との付き合い方も大きく変わっていきます。
節税とは、我慢や無理をすることではなく、「選択肢を増やすこと」です。副業という新しい選択肢を持つことで、将来の安心と自由に一歩近づくことができるでしょう。